円安や銀行の資本規制緩和を好感して大幅高清水洋介の「日々是相場」夕刊(1/2 ページ)

» 2010年11月10日 17時19分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

市況概況

日経平均 9830.52円 △136.03円
売買高 22億1387万株
日経平均先物 9810円 △120円
売買代金 1兆4880億円
TOPIX 852.98 △13.03
値上がり銘柄 1206銘柄
東証マザーズ指数 367.13 △3.68
値下がり銘柄 324銘柄
日経ジャスダック平均 1157.90円 △4.11円
変わらず 122銘柄
騰落レシオ 96.96% △8.93%

日経平均

円安や銀行の資本規制緩和を好感して大幅高

 米国市場は軟調となりましたが、円高一服、円安となったことや一部商品市況は軟調となったものの商品相場が総じて堅調なことから買い先行となりました。外国人売買動向(市場筋推計、外資系10社ベース)は売り越しと伝えられ、為替も朝方は若干円高に振れる場面もあり、寄り付きの買いが一巡した後は上値の重い場面もありました。節目と見られる9800円水準で上値の重さが見られるような展開でしたが銀行の厳しい自己資本規制が中国や日本などアジアの銀行は除外されると報じられたことが好感されて金融株が買われ、一段高となりました。

 後場は為替に動きはなく、中国の金融引き締めや輸入鈍化懸念もあり、上げ幅縮小となりました。それでも売り急ぐ動きもなく、値持ちの良い展開は続き指数は小動きながらも大幅高水準での推移となりました。前場に引き続きハイテク銘柄などの輸出関連銘柄や金融株に高いものが見られ、持高調整の売りに押されるものも見られるのですが、芳しくない決算を発表した銘柄などでも下げ幅が限定的となるなど、総じて堅調な地合いとなりました。円高懸念も薄れたことで、円高要因での業績悪化懸念が薄らいだものと思います。

 小型銘柄も堅調な展開となりましたが、買戻しを急ぐような動きは見られず、上値も限定的となるものが目立ちました。東証マザーズ指数は最後に買いが入り大幅高となりましたが、日経ジャスダック平均は堅調となりました。先物は散発的にまとまった売り買いは見られましたが、朝方の売り買いも比較的少なく、総じて閑散とした展開でした。しっかりと方向感を持っての売り買いというよりはあくまでも目先の小掬い商いが中心となって、終始方向感が出る雰囲気はありませんでした。

 慎重な決算発表への反応も厳しいものではなくなって来た感じです。円高が下期以降も継続するとの前提で、下方修正、あるいは上方修正をためらった企業も多く、上振れ期待から売り急ぐ動きが少なくなってきたものと思います。少なくとも世界的な景気減速に対する懸念も薄れ、金融緩和効果を見極めつつ業績や景気の回復度合いを計るということなのだと思います。商品相場が堅調なうちは、投機的な資金の流れも良く、新興国を中心とした経済の拡大が続いていると見ても良く、為替に落ち着きが見られれば、日本株の出遅れ修正となって来るものと期待されます。

テクニカル分析

日経平均

NYダウ

 ようやく上に放れてきた感があります。移動平均線や基準線との乖離も大きく、RSIは上値余地があって上昇が続いているのですが、ストキャスティックスは高値圏にあり、堅調ながらも上値の重い展開となりそうです。それでも節目を抜けたと見られるので、9800円水準での底堅さを確認し、転換線や基準線の上昇を待つような展開になるか、いったん9500円〜600円水準のサポートを確認して反発するような展開になって来るものと思います。

TOPIX

NYダウ

 薄い雲をしっかり抜けたものと思われます。底入れ確認と見られ、今度は目先の戻りを試すところですが、9月の高値を抜けるのではないかと思います。ただ、ストキャスティックスは高値圏にあり、RSIは上値余地があって上昇が続いているので、高値を抜ければ抜けたで、いったんは達成感から日柄か値幅の調整となって来るものと思います。

円相場

NYダウ

 転換線のサポートを確認して基準線を意識する水準まで戻りました。ここからが正念場というところですが、RSIもストキャスティックスも上昇が続いて上値余地もあり、基準線を抜けて、基準線のサポートを確認するような展開も期待されます。基準線を抜けてくれば底入れ感も出てくるのかもしれません。

銘柄ピックアップ

円高一服や金融規制強化懸念が薄れて大幅高

SMC(6273) 13960 △1000

 昨日の引け後に自動車や電子機器の生産開封で中国などアジアを中心に空気圧機器の需要が好調で、2011年3月期の連結業績予想を上昇修正したことが好感されて買い気配から始まり大幅高、年初来高値更新となりました。

三菱UFJ(8306) 393 △16 、 三井住友(8316) 2512 △139

 両行をはじめ銀行株、金融株が大幅高となりました。G20首脳会合で中国や日本などアジアの主力銀行は厳しい自己資本規制の対象外となりそうだと英紙の電子版が報じたことが好感されて買われました。

NTT(9432) 3900 △150

 昨日の引け後に発行済み株式総数の7.97%を15日付けで消却すると発表、もともと割安感もあったことから、資本効率の改善や需給の好転を期待した買いが入り大幅高となりました。

太平洋セメ(5233) 91 ▼5

 昨日の引け後に発表された2010年4−9月期の連結最終損益で赤字幅が従来予想よりも拡大、2011年3月期の連結経常利益予想も下方修正したことがが嫌気されて売られ大幅下落となりました。

セ硝子(4044) 340 ▼20

 昨日の引け後に2011年3月期通期連結業績予想を上方修正したのですが、修正幅が期待されたほどでなかったことが失望感を誘い、見切り売りに押されて大幅安となりました。

SUMCO(3436) 1301 ▼11

 2011年1月期下期のウエハー生産量の減少や円高による価格の下落を考慮して国内証券が投資判断と目標株価を引き下げたことが嫌気されて売られ、軟調となりました。

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