7割読めたらサイを投げよ!――「七放五落十二達」の法則(2/3 ページ)

» 2010年11月10日 08時00分 公開
[村山昇,INSIGHT NOW!]
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不測の状況と葛藤し道を探り当てる=五落

 「七で放つ」のは簡単ですが、本人の真価を問われるのはここからです。つまりそこからは、混乱、困惑、不測の出来事のオンパレードです。未知の連続に、「こんなはずじゃなかった!」という場面も多々出現してきます。自分が描いていたプランのそこかしこにひび割れが生じ、あるいは崩れ落ち、変色し、縮小していくでしょう。そうして当初掲げていたプランは5割レベルまで落ち込む状況になります。―――これが「五落」(ごらく)です。ただし、肝に命じてください。これは落ち込んだように見えるだけです。

 「五落」という背丈まで生い茂る草むらの中、素手で草をかき分け、投げ倒し、道を探っていきます。どれほどの長さか分かりませんが、そうした混沌をくぐり、修羅場をくぐると、やがて広い丘に出ます。

 その丘にはさわやかな風が吹いていて、ふと足元を見ると花も咲いています。そんな足元の花に気付くくらいに心に余裕ができた時、振り返ってみてください。おそらく事を起こす前までの自分を、冷静に眼下に見下ろせるはずです。その到達した丘は、当初自分が計画した以上の高みになっていることが多く、12割レベルというのが実感値となります。―――それが「十二達」(じゅうにたつ)ともいうべき境地です。

過去のことがすべてつながる「十二達の丘」

 満足のいく仕事人生を築いていくにはさまざまな要素が必要になりますが、最も重要なものは「自分を試す勇気」と「状況を作り出す力」ではないでしょうか。分かりやすく言えば、リスクを恐れず、常に行動で仕掛ける。そして、自分なりの正解を作り出すことです。

 動いていけばいくほどに、自分の視界はどんどん開けてきます。Aという山を目指していたが、状況を作り出すうちにBの山にたどり着くこともあるかもしれません。ですが、たぶんその時、あなたはBの山頂に立ってこう思うでしょう―――「あぁ、Bの山もまんざらではない。いい山だ」と。そして遠く向こうに見えるAの山頂を懐かしく眺めるでしょう。

 仕事の成就やキャリアの進路に、「これしかダメ」という唯一無二の正解はありません。人はゆらぎながら成長していく動物です。ひとたび何か事を起こすと、自分を取り巻くさまざまな条件や制約、都合などが複雑な力学を伴って、自分に向かってきます。そうして押し合いへしあいしながら、キャリアの道筋は作られ、方向が自分の中で固まってきます。

 どこまで行っても不安は付きまといますが、「自分らしく」という思いに根ざしていればそのプロセスもまた楽しめるものです。自分らしく不測の状況と葛藤して、行き着いた先が自分の居場所であり、そこに充実感を覚えるのであればそれは大正解を勝ち取ったということなのです。

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