では、東京メディアが「地域の人に訴求するメディア」になるには何が必要か。まずは認知度の向上だ。東京メディアの視認率はチラ見を含めて30%程度。これを50%に引き上げたいという。街ゆく人の2人に1人がディスプレイを見るようになれば、地域媒体としての東京メディア価値を外部に伝えられると考えている。
そのカギを握るのは「短くて、シンプルなメッセージ」を伝えるコンテンツだ。クロスオーシャンメディアが作成した「卓球」のコンテンツが一例だ。繰り広げられる卓球のラリーの中、突如ピンポン球が別のものに変わる――。コンテンツ自体に深い意味はないものの、「これは何だ?」と道行く人の目を釘付けにする。消費者の目を引きつければ、次の広告コンテンツも見てもらえるかもしれない。視認率とコンテンツの質を向上させることで、「広告媒体としての東京メディア」の存在価値も高まってくるだろう。
また東京メディアは、ローソンと消費者のかかわり方を変える可能性も秘めている。市原氏は東京メディアがもたらす価値を「消費者と商品の必然の出会い」と話している。例えばローソンで販売している唐揚げは「揚げたてが一番おいしい」が、来店者が常にそれを購入できるわけではない。そこで「11時半に揚げたてができます」という案内を東京メディアでタイムリーに放映すれば、来店者の手が思わず唐揚げに伸びてしまうかもしれない。
さらに「忙しい人のスキマ時間を狙い、生活にスイッチを入れたい」とも考えている。「たまたま放映していたコンテンツを見て、上司や部下が話すようになる」といったきっかけを東京メディアで作りたい、と市原氏は話す。
「JRのトレインチャンネルが駅中のハブになるまでに8年掛かっている。同じようにローソンの東京メディアを街中のハブにするために、短期間で利益を狙うのでなく、時間を掛けて他社と異なる戦略を打ち出していく」
東京メディアが地域の人と人、そして商品やサービスとの必然の出会いを演出するようになれば、店舗の来店客も自ずと増えていくだろう。市原社長は、こんな近未来のコンビニの姿を東京メディアに重ねている。
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