コラム
» 2010年11月04日 08時00分 UPDATE

郷好文の“うふふ”マーケティング:成功する事業は社会的ニーズが説明できる――CSR活動の本質とは? (2/3)

[郷好文,Business Media 誠]

農業とITの合体支援

 村上さんは2002年にNECのグループ企業に入社し、企業広報の立場からCSR推進に従事、現在はNEC本社のCSR推進部に出向している。企業市民の立場から社会貢献を考え、実践してきた。その話には、これからのマーケティングの根本に関わる視点があった。消費者の真のニーズをとらえ、起業を成功させる切り口があった。

 「ある大学と共同で、国際社会貢献プロジェクトを立ち上げます。過去の農作に関わる情報をITで解析することで、エリア別で大まかな農作物の収穫状況が予測できます。その予測と例年の市場価格変化を見比べて、適切な出荷時期を決める検討材料にし、結果として農家の所得を向上させます」

 多くの途上国では、家族経営の零細農家で農業が営まれている。農業の体系的な知識が不足し、技術も機械化も遅れている。商売目線も乏しい。そこをNECの通信技術とデータ解析力で支援する。

 「しかも収穫物の7割が捨てられる例もあります」と村上さん。

 せっかく収穫した野菜の保管ノウハウもない。倉庫に積み上げたまま腐って出荷できない割合の方が大きくなる。育てた野菜から収入が生まれない。そこで村上さんの経験が役立つのだ。

 「例えば、タマネギは通気を良くするだけで保ちが違います。途上国でも実践できる方法で、貯蔵期間を伸ばし、出荷時期を調整することができます」

 農家の年収を増やせれば、BOP支援が経済協力にもなる。NECにとっても宣伝効果だけでなく、事業収益がもたらされるだろう。さらに私が村上さんのことばに打たれたのは、社会貢献という“上から目線”ではない。恵まれた日本社会から見ると社会貢献だが、途上国の農地から見れば、それは生産者ニーズであり消費者ニーズそのものである。

Copyright© 2017 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ

ITmedia 総力特集