コラム
» 2010年11月04日 08時00分 UPDATE

相場英雄の時事日想:街を壊さないで……再開発を巡る“他所者視点” (1/3)

小説『みちのく麺食い記者シリーズ』の取材のため、東北を頻繁に訪れる筆者。現地の美しい街並みに触れる機会が多いが、最近は再開発の問題を巡って地域が揺れている。今回の時事日想は、この再開発問題について考えてみた。

[相場英雄,Business Media 誠]

相場英雄(あいば・ひでお)氏のプロフィール

1967年新潟県生まれ。1989年時事通信社入社、経済速報メディアの編集に携わったあと、1995年から日銀金融記者クラブで外為、金利、デリバティブ問題などを担当。その後兜記者クラブで外資系金融機関、株式市況を担当。2005年、『デフォルト(債務不履行)』(角川文庫)で第2回ダイヤモンド経済小説大賞を受賞、作家デビュー。2006年末に同社退社、執筆活動に。著書に『株価操縦』(ダイヤモンド社)、『偽装通貨』(東京書籍)、『偽計 みちのく麺食い記者・宮沢賢一郎』(双葉社)などのほか、漫画原作『フラグマン』(小学館ビッグコミックオリジナル増刊)連載。ブログ:「相場英雄の酩酊日記」、Twitterアカウント:@aibahideo


 筆者は小説の執筆を本業としている。特に直近の2年半は『みちのく麺食い記者シリーズ』(小学館文庫、双葉文庫)の取材とプロモーションのため、東北6県を頻繁に訪れてきた。この間、地方経済の疲弊など諸問題を取材する一方で、各地に残された美しい街並、風情のある飲食店街の姿に触れ、素直に感動を覚えた。同シリーズでは、自身の感じたことをそのまま文面に反映させてきたと自負している。今回の時事日想は、直近のプロモーションで感じた地方の再開発について触れてみる。

念願の“桜山”

 10月末、筆者は最新刊のプロモーションの一環として岩手県盛岡市を訪れた。この際、地元関係者とともに、念願だった地域で酒を飲む機会を得た。

 その場所とは、肉味噌と太麺が独特の風味を醸し出す盛岡名物「じゃじゃ麺」の有名店、あるいは地元料理を供してくれる古い居酒屋が軒を連ねる飲食店街、「桜山」地区だ。そこは新宿の線路脇に広がる「思い出横丁」、歌舞伎町の東端に位置する「ゴールデン街」のような戦後から続くレトロな飲食店街だった。

 レトロ飲食店街での飲酒をライフワークとしてきた筆者は、年に数回の頻度で訪れる盛岡で、桜山地区での飲酒を心待ちにしていた。だが、ここ数年、なかなかタイミングが合わずじまいで、先月末にようやく実現したという次第だった。

 地元関係者とともに、地元の産物を供してくれる昭和のたたずまいそのものの居酒屋「N」ののれんをくぐり、座敷に上がり込んだ。街とともに歴史を刻んできた小さな居酒屋では、ご主人が作る地元料理に舌鼓を打った。お国言葉が聞こえる居酒屋は、筆者のような旅好き、飲酒好きにとってはマストアイテムなのだ。

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