コラム
» 2010年11月02日 11時23分 UPDATE

松田雅央の時事日想:災害が起きても、“きれいな水”を飲みたい (1/3)

上下水の設備が整っており、どこでも安全な水を飲める恵まれた国、日本。しかし災害が起きれば、不衛生な水しかなくなるといったケースも起こりうる。本記事ではそんなときに威力を発揮する、独立型の小型浄水設備を紹介しよう。

[松田雅央,Business Media 誠]

著者プロフィール:松田雅央(まつだまさひろ)

ドイツ・カールスルーエ市在住ジャーナリスト。東京都立大学工学研究科大学院修了後、1995年渡独。ドイツ及び欧州の環境活動やまちづくりをテーマに、執筆、講演、研究調査、視察コーディネートを行う。記事連載「EUレポート(日本経済研究所/月報)」、「環境・エネルギー先端レポート(ドイチェ・アセット・マネジメント株式会社/月次ニュースレター)」、著書に「環境先進国ドイツの今」、「ドイツ・人が主役のまちづくり」など。ドイツ・ジャーナリスト協会(DJV)会員。公式サイト:「ドイツ環境情報のページ


 日本なら国内どこへ行こうとも、ほぼ間違いなくきれいで安全な水道水を利用することができる。先進国ではごく当たり前のことだが、世界的に見れば衛生的な水は「特別な恵み」と考えるべきものだ。今もなお世界の10億人以上が飲料水不足に直面し、30億人が不衛生な水を飲んでいる。

 社会構造的な水不足だけでなく、汚水処理の不備といった人為的な原因や自然災害によって飲料水に窮することもある。「ハイチのコレラ死者194人に――川の水飲み感染の可能性」(10月24日付アサヒコム、参照リンク)や、被災者2000万人という未曾有の被災者を出したパキスタンの水害(2010年7月)、先進国にとっても局地的な自然災害による水不足は常に起こり得るリスクといえる。

 今回の時事日想では、そんなときに絶大な威力を発揮するTRUNZ(スイス)の独立型浄水設備を紹介したい。この設備は移動が容易でどこにでも設置できる即応性に加え、太陽光や風力といった自然エネルギーで稼働するエコロジカルな特性も備えている。

いつでもどこでも

 TRUNZの独立型浄水設備を見つけたのは9月中旬にミュンヘンで開催された水・排水・ゴミ・資源に関する世界最大級のメッセ「IFAT2010」でのこと。前回開催のIFAT2008についてはBusiness Media 誠でも紹介したが(関連記事)、それから2年経った今も開発途上国の水・排水問題の深刻さは変わっていない。

 出展された浄水設備は乗用車で牽引できる小型タイプ「TSS200」。移動時の大きさは3800×2100×2500ミリメートル、重量は約3000キログラムと、小型自動車ほどのサイズだ。川や湖の脇に固定してから上部の太陽電池パネルを展開し、取水用のゾンデを水に沈めればすぐに取水開始できる。上映されていたデモビデオによると、現場到着から飲料水を作り始めるのにかかる時間はおよそ30分。どこにでも設置できる汎用性と稼働までわずかな時間しか要しない即応性が第一の特徴だ。

 TSS200タイプはマイクロフィルターのほかに逆浸透膜を使用し、ウィルス、イオン、塩類のなどを除去した飲料水を得ることができる。不衛生な水源や海水からも飲料水を作ることが可能で、ヘリコプターで空輸できる大きさのため災害時にも役立つはずだ。

  • 海水が水源の場合:最大生産量 250リットル/時
  • 淡水が水源の場合:最大生産量 900リットル/時(純度99.9999%)
yd_matuda1.jpg IFAT2010に展示されたTRUNZの浄水システム
yd_matuda2.jpgyd_matuda3.jpg IFAT2010に展示されたTRUNZの独立型浄水設備、太陽電池・発電用小型風車の併設タイプ(左)、取水用ゾンデ(右)

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