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» 2010年11月02日 08時00分 UPDATE

それゆけ! カナモリさん:バンダイが放つ、“のだめ”化粧品の狙い (1/2)

おもちゃメーカーのバンダイが化粧品?しかも、キャラクターが「のだめ」?…。いくつも疑問符が頭に浮かんでしまう記事が10月27日付日経MJに掲載された。しかし、そこには同社の戦略と願いが込められているように思われる。

[金森努,GLOBIS.JP]
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それゆけ! カナモリさんとは?

グロービスで受講生に愛のムチをふるうマーケティング講師、金森努氏が森羅万象を切るコラム。街歩きや膨大な数の雑誌、書籍などから発掘したニュースを、経営理論と豊富な引き出しでひも解き、人情と感性で味付けする。そんな“金森ワールド”をご堪能下さい。

※本記事は、GLOBIS.JPにおいて、2010年10月22日に掲載されたものです。金森氏の最新の記事はGLOBIS.JPで読むことができます。


 おもちゃメーカーのバンダイが化粧品? しかも、キャラクターが「のだめ」? いくつも疑問符が頭に浮かんでしまう記事が10月27日付日経MJに掲載された。

 記事のタイトルは、「不慣れでも使いやすく バンダイ 化粧品新シリーズ」とある。「メークに不慣れでも使いやすい点をアピール」とキャプションが添えられた商品パッケージ写真に描かれているのは、まごうことなき「のだめ」だ。上野樹里と玉木宏が主演し、テレビドラマから後に映画化までされて大人気になった『のだめカンタービレ』。二ノ宮知子が描く原作漫画の天然ボケの主人公「のだめ」こと「野田恵」と、作品中にのだめ手製の着ぐるみとして登場する「マングース」の絵が描かれている。

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 日経MJの記事はバンダイが10月19日にリリースした内容が元になっている。リリースでは「『お悩み解消コスメシリーズ』は、女性がもつメークへの様々な悩みを解消する新しいコスメシリーズです。人気マンガ『のだめカンタービレ』の主人公である野田恵(通称:のだめ)をイメージキャラクターとして、のだめのようにお化粧に慣れない女性や苦手な女性でも簡単に、上手にメークが出来るように開発された商品です」としている。商品の第1弾は、昨今のメークのキモであるアイメークには欠かせないながら、失敗すると痛い目を見るアイライナーとマスカラの使い勝手と仕上がりの良さを高めた商品だという。

 「何でバンダイが?」と思うところだが、リリースにあるように、バンダイには「クレアボーテ(Creer Beaute)」という化粧品ブランドが存在する。ラインアップはメーク品と入浴剤、リップクリームやハンドクリームで、何らかのキャラクターとコラボしている。特に注目は11月15日発売予定の「お悩み解消シリーズ」に先行して販売されている2つの有名キャラクターシリーズだ。

 10月15日から発売されているのが「峰不二子コスメ」。いわずと知れた『ルパン三世』の永遠のヒロインがキャラクターとなっている。ブランドのコピーには「強さ・美しさをコンセプトに、機能性と不二子のイメージを融合。使うたびに、不二子から強さと美しさをもらえるコスメシリーズです」とある。2種のマスカラ、アイライナー、2種のリップグロスがラインアップされている。

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 「クレアボーテ」は2006年夏に設置され、F1層(20〜30代前半女性)ターゲットの化粧品を開発してきた歴史がある。そして、コスメのクチコミサイトでも何度もナンバー1を獲得している「ベルサイユのばら」シリーズを3年前に世に送り出した。

 「ベルサイユのばら」シリーズの商品には、現在はアイライナーとマスカラ、スキンケアマスクと入浴剤がある。特にマスカラ、アイライナーは、お姉様フェミニン系の「Ray」、大人オトメ系の「bea’s up」、ギャル系の「小悪魔ageha」と現在でも幅広いファッション誌で紹介されている。

 同シリーズの特徴は何といっても商品パッケージで。「ベルばら」の通称で女子ならば誰でも知っている漫画・アニメのキャラクターがデカデカと描いてある。池田理代子の描く人物の特徴である、誇張されたまつげや目元、強い目力(めぢから)が、マスカラやアイライナーの威力を無言で訴えかけてくるのだ。

 そもそもバンダイを含む大手玩具各社は、女児の関心がおもちゃからアクセサリーやファッションに移ってきたここ10年で、次々と女児向け化粧品を打ち出してきた。現在は10歳前後で化粧に関心を持ち始めると言われており、さらなる低年齢化も進んでいて、玩具店にはおもちゃと並んで化粧品が置かれている。

 バンダイも早くから、「セーラームーン」のキャラクターを使った化粧品や、子供服大手のナルミヤと組んで人気アパレルブランド「メゾピアノ」の化粧品を出すなど、キャラクターなどを使って女児の心をわしづかみにするマーケティングや販売のノウハウを蓄積してきている。

 「ベルばら」「不二子」「のだめ」は、そのナレッジを生かして、本来キャラクターとは縁の薄い、20〜30代女子の心もつかんでしまおうという革新的な試みであるのだ。

 少し毛色は違うが、市場を見渡すと、競合もいる。

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