第42鉄 海底駅、連絡線、昭和の記憶――津軽海峡の今昔を訪ねる杉山淳一の+R Style(6/6 ページ)

» 2010年10月28日 14時48分 公開
[杉山淳一,Business Media 誠]
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「竜飛2コース」のゴールは函館

 青函トンネル記念館に戻り、ケーブルカーで坑道に戻る。竜飛2コースは白鳥15号が指定されており、竜飛海底駅16:18発。函館に17:33着。「竜飛2コース」の唯一の難点は、函館に着いたときに函館港の「摩周丸」の見学時間に間に合わないこと。摩周丸の車両甲板には入れないけれど、青函航路晩年に行われた自動車航送用甲板が再現されているという。時間にゆとりがあれば函館に泊り、翌日、朝市見物の後にでも訪れてみよう。

 ちょうど日が暮れてきたので、路面電車で函館山へ。ロープウエーで山頂に登って夜景を眺めた。残念ながら雨が降り始めて、展望台は霧に包まれてしまった。ゆったりとした霧が、夜景を見せたり隠したり。カレンダーや絵はがきのような夜景よりもロマンチックだ。石原裕次郎の「夜霧よ今夜もありがとう」は、こんな雰囲気を表現していたのだろうか。

再び竜飛海底から白鳥で函館へ。函館市電にはLRTタイプの新車が走っていた
定番スポット「函館山」からの夜景。くびれの左側にライトアップされた青函連絡船「摩周丸」が見える

 ロープウエーで下ると本格的な雨。電停までは距離があるのでタクシーに乗った。運転手さんにインターネットで調べた居酒屋の名前を挙げると「もっと美味い店を教えましょう」と、ホッケ料理専門の居酒屋に案内してくれた。函館のそば、恵山の沿岸に棲みついているという根付きのホッケを焼いてもらう。東京の居酒屋で出てくるホッケの3倍はある大きさ、これでも中サイズだそうで、値段も数倍する。値段にも驚いたけれど、味の深みにも驚いた。このお店はその名も「ねぼっけ」。私は焼き魚しか食べられないけれど、生魚が食べられる人ならホッケの刺身などもオススメとのことだ。

夕食はホッケ料理専門居酒屋「ねぼっけ」。恵山付近の海に棲み、回遊しない根付きのホッケをいただいた

今回の電車賃

(東京から) 青森・函館フリーきっぷ 2万9100円(残念ながら11月27日で販売終了) 竜飛海底駅見学整理券 2040円 函館市電 函館駅前-十字街 200円(市電一日乗車券 600円)


著者プロフィール:杉山淳一

著者近影(2006年5月に閉館した、東京・万世橋の交通博物館にて)

 肉食系鉄道ライター(魚介類が苦手)にして、前世からの鉄道好き。生まれて間もなく、近所を走っていた東急池上線の後をついていったという逸話あり。曰く「いつもそばを走ってたから、あれが親だと思った」

 コンピューター系出版社でゲーム雑誌の広告営業を経験した後、フリーライターとなる。オンライン対戦ゲーム、フリーウェア、PCテクニカルライティングなどデジタル系の記事を専門とし、日本初のEスポーツライターとしてオンライン対戦ゲーム競技を啓蒙する。

 趣味は日本全国の鉄道路線探訪で、現在の路線踏破率は約8割。著書は『もっと知ればさらに面白い鉄道雑学256(リイド社)』『知れば知るほどおもしろい鉄道雑学157(リイド社)』『A列車で行こう8 公式ガイドブック(エンターブレイン)』など。


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