米国株高に加え、円高一服、好決算発表も多いが冴えない展開が続く清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2010年10月27日 16時37分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
前のページへ 1|2       

明日の相場雑感

 米国株が堅調、円高一服となったことや好決算発表も多く堅調な展開となりました。外国人が売り越し基調ということに加え、持高調整の売りが続いているということもあり後場に入ってから上値の重い、冴えない展開となりました。好決算を発表しながらも売られる銘柄なども散見され、足元の業績よりも個別の材料や先行きの雰囲気だけで売り買いされているような感じです。目先の値動きに反応することも多く、指数が決算動向などに反応しきれていないようです。

 円高一服、ドルの底入れ感が強まり、好調な決算発表が相次いでいる割には上値の重い展開となりました。世界的な金余りが言われるなかで、これだけ日本株が売られる、買われない理由はないような気もしますが、やはり、政策の方向感、つまりは日本の向かう方向が見えないということが一番問題なのかもしれません。株式市場でも手数料は安くなったものの、株式保有に対するメリットはなく、1円でも儲ければ良い、と言うような見方も多く、方向感が定まらないということなのでしょう。

 決算発表時には常に「足元は良いが先行きに対して・・・」などといって買いが見送られ、材料出尽くしとばかりに売られることが多いような期がします。四半期の決算発表となったことで、「先を読む」と称して足元ばかりを見つめた動きであることが多いような気がします。為替に関してもドル安が続く、と言っていますが米国景気の回復が見られる一方で、日本の景気回復は何を中心に回復してくるのかも見えず、「日本の先行きが見えない」状況で円が買われ続けるという気がしません。

 株式も為替もそして企業の業績もあまりに近視眼的に見すぎているのではないかと思います。もっともっと世界のお金の大きな流れを掴んでいないとそれこそ日本が「ガラパゴス化」して世界から置いていかれることになるものと思います。新興国の経済拡大が続いているのであれば、その新興国の経済拡大にしっかりと「乗って」いるところにお金は流れるのだと思われ、日本の企業でも単に社内で英語を使うだけでなく、世界のお金の流れを引き寄せるような戦略をとっている企業がさらにお金を集めることになるのだと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.