なぜコンビニは“新天地”を探し続けるのかローソンを“研究する”・スタート(3/5 ページ)

» 2010年10月27日 11時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

2000年にターニングポイント

36粒のイチゴで仕立てられた1万500円のクリスマスケーキ(出典:ローソン)

 1995年、ローソンにとって最大のピンチを迎えることになる。マグニチュード7.3を記録した阪神・淡路大震災は、ローソンの店舗にも大打撃を与えた。三宮にあるダイエーの基幹店舗が破壊されたほか、数多くの店舗に被害を及ぼした。

 同時に、親会社ダイエーの屋台骨が揺らいでいった。当時のダイエーは小売業以外にもホテルや大学など数多くの事業を手がけていたが、バブル経済が崩壊し、1990年代の後半に業績悪化が表面化。そして2001年の8月、ダイエーはグループが保有するローソン株を売却。これを機に、ローソンは筆頭株主である三菱商事の傘下に入ることになった。

 話は前後するが、2000年2月にローソンは三菱商事と業務提携を結ぶことになる。そして同年7月に上場を果たすことに。三菱商事と手を結ぶことによって、どういった効果があったのだろうか。

 「これまで流通系のコンビニとしてさまざまなさービスを提供してきましたが、新たなチャンネルとしてネットを利用した電子商取引(eコマース)が重要と位置付けました。そしてチケットを購入できる端末『Loppi』を導入、また公共料金の支払いなどが可能となった。このほか原材料の仕入れ、店舗の立地情報、決済や事務関連などさまざまな分野で支援してもらうことになりました」(木村シニアマネジャー)

 ビジネスの仕組みが変わったことで、どのような影響を及ぼしたのだろうか。例えば2010年9月に、ローソン史上最高価格1万500円の「クリスマスケーキ」の予約を受け付けた。こだわりの食材をふんだんに使い、パティシエの手で1つ1つ作るケーキは、4日間で完売。「以前のローソンであれば、こうしたケーキを販売することができなかったかもしれません。例えば原材料となるクリームをどこで仕入れていいのか分からなかったですから。つまり情報があまりなかったので、新しいことに挑戦することが難しかったですね」(木村シニアマネジャー)

 「たかが1万500円のケーキ」「奇をてらった商品を売っているだけ」といった見方もできるだろう。しかし昔のローソンであれば作れなかったモノが、今では作ることができる――。そういう意味でも、2000年に三菱商事と手を結んだことは、ローソンにとってのターニングポイントだったかもしれない。

ローソン100「下目黒二丁目」店で売られている野菜とくだもの

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