コラム
» 2010年10月25日 07時39分 UPDATE

藤田正美の時事日想:忘れてはいけない、“原発のゴミ”問題 (1/2)

地球温暖化の問題が議論されるようになって、原子力発電=厄介モノという認識が変わったように感じる。しかし2010年は電気自動車元年。CO2を排出しなくなる一方で、核のゴミを排出することを忘れてはいけない。

[藤田正美,Business Media 誠]

著者プロフィール:藤田正美

「ニューズウィーク日本版」元編集長。東京大学経済学部卒業後、「週刊東洋経済」の記者・編集者として14年間の経験を積む。1985年に「よりグローバルな視点」を求めて「ニューズウィーク日本版」創刊プロジェクトに参加。1994年〜2000年に同誌編集長、2001年〜2004年3月に同誌編集主幹を勤める。2004年4月からはフリーランスとして、インターネットを中心にコラムを執筆するほか、テレビにコメンテーターとして出演。ブログ「藤田正美の世の中まるごと“Observer”


 地球の温暖化に関する議論が盛んになってからというもの、原子力発電=厄介なものという認識がすっかり変わってしまったように見える。石油や石炭などの化石燃料を燃やせば、二酸化炭素(CO2)が排出される。太陽光や太陽熱、風力と再生可能エネルギーは、クリーンかもしれないが安定性や持続性に欠けるため、予想しうる将来に主たるエネルギー源になることはなさそうだ。もちろん水力発電もクリーンに違いないが、ダムを立地できる場所がなくなってきている。

原発の建設が進む

 原発に追い風が吹いているのは日本だけではない。日本原子力産業協会が2010年1月1日現在で調査したところによると、世界で建設中の原子力発電所は15カ国で66基、約6500万8000キロワットだという(現在稼働している原発は全世界で432基、約3億9000万キロワット)。さらに74基、約7500万キロワットが計画中だ。

 中でも中国はまさに原発ブームだ。稼働中が11基に対して、建設中が26基、計画中が10基。2ケタ近い経済成長を賄うためには膨大なエネルギーが必要であり、石油資源の確保に並んで原発建設、燃料ウランの確保に力を注いでいる。またロシアも建設中10基、さらに7基を計画中だ(日本も3基を建設中、さらに12基が計画されている)。

 しかし、温暖化ガスを排出しない原発からも、もちろん廃棄物が出る。燃料ウランもすべてが燃え尽きるわけではない。そのうち厄介なのが、高レベル放射性廃棄物である。その主なものは使用済み核燃料だ。資源が豊かではない日本の場合、核燃料は1回使っただけで処分することはしない。基本的には再処理をしてまた原子炉で燃やせるようにする。

 以前は日本で再処理ができなかったために、英国やフランスに委託して再処理していた。再処理した燃料にはプルトニウムが含まれることから、テロリストによる強奪を恐れて、海上保安庁が巡視船を欧州に派遣したことを記憶している読者もおられるだろう。そして英国やフランスでの再処理に伴って発生した高レベル放射性廃棄物は、ガラス固化体などにして日本に送り返される。

 これらの廃棄物はそれぞれの国が責任をもって処分することになっているからだ。そこで国はこうした高レベル放射性廃棄物を地下300メートルよりも深い地層に埋設して処分することを定めた(特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律、2000年)。しかし「核のゴミ」とあって、場所の選定は難航している。

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