コラム
» 2010年10月21日 08時00分 UPDATE

相場英雄の時事日想:記者が、人事ネタを押さえるワケ (1/3)

人事異動のシーズンになっても「自分には関係ない」と無関心を装うビジネスパーソンも少なくない。しかし自分の身を守るという意味合いからも、自社や取引先の人事情報には敏感になったほうがいいのではないだろうか。

[相場英雄,Business Media 誠]

相場英雄(あいば・ひでお)氏のプロフィール

1967年新潟県生まれ。1989年時事通信社入社、経済速報メディアの編集に携わったあと、1995年から日銀金融記者クラブで外為、金利、デリバティブ問題などを担当。その後兜記者クラブで外資系金融機関、株式市況を担当。2005年、『デフォルト(債務不履行)』(角川文庫)で第2回ダイヤモンド経済小説大賞を受賞、作家デビュー。2006年末に同社退社、執筆活動に。著書に『株価操縦』(ダイヤモンド社)、『偽装通貨』(東京書籍)、『偽計 みちのく麺食い記者・宮沢賢一郎』(双葉社)などのほか、漫画原作『フラグマン』(小学館ビッグコミックオリジナル増刊)連載。ブログ:「相場英雄の酩酊日記」、Twitterアカウント:@aibahideo


 毎年、春先や秋口は主要企業の人事異動が活発化する。読者の中にも、担当部署が変わったり、苦楽を共にした同僚が転出したりするケースがあったのではないだろうか。組織に人事異動はつきものであると同時に、人事ネタはマスコミにとっても重要な取材対象であることは間違いない。今回の時事日想は、人事を巡るさまざまな事柄に触れてみたい。

会社発表は最悪の抜かれ

 「○○銀行、A常務が次期頭取に内定=10人抜きの異例抜擢」、「○◯省、事務次官にB氏」――。

 新聞やテレビ報道の中で、企業や役所の幹部人事がしばしば報じられるのはご存じの通り。このうち何割かはマスコミが当事者の発表に先だって情報を伝えるケースが存在する。

 大銀行や大企業、中央官庁の人事は組織全体のバランスが変わる端緒となるだけに、トップのほか、要となる主要幹部の人事情報は第一級のニュース素材となるためだ。

 取引業者、あるいは許認可をめぐる協議をしていた人にとっては、担当者がいきなり変わってしまい、ビジネスの行方が左右される事態も生じる。それだけに、人事ネタは通常のストレートニュースと同様に重要な位置付けとなっている。

 たかが人事ではないか。読者の中にはそうとらえる向きも少なくないだろう。だが、取材対象となる組織や企業の人事を把握しておくことは、企業ならば新商品や新戦略、役所ならば今後の政策の概要を“人”を通じて見通すことにつながる。

 例えば、これが日銀総裁や理事に関する人事ならば「タカ派のC局長とハト派のD局長」のどちらが昇進するかで今後の金融政策に対するスタンスや、将来的な円相場の行方をも透けてくるという具合なのだ。

 かつて筆者が日本銀行の記者クラブに在籍していたとき、ある大手生保が記者クラブに社長交代のリリースを緊急で持ち込んだことがあった。このときはどこの社もカバーしておらず、社長交代の記事が全社一斉に載った。

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