マダム ブリュレ、大人気バウムクーヘンの秘密郷好文の“うふふ”マーケティング(2/3 ページ)

» 2010年10月21日 08時00分 公開
[郷好文,Business Media 誠]

マダムシンコが流行るワケ

 引き出物の定番ともされるバウムクーヘンが、新鮮な価値を持っているのはなぜか? マダムシンコが流行る要素を分析していこう。

 目をひく派手なパッケージングは、カウカウフードシステム会長の川村信子さんが好きなヒョウ柄。洋菓子でヒョウという意外性と鮮やかな色彩。美貌の川村さんのシルエットをモチーフにした封入カードも独特で、彼女の存在自体がブランドイメージの重要な要素となっている。

 そこに込められているのは川村さんの起業物語という隠し味。関西のスナック喫茶の自営業を振り出しに上京。銀座で頭角を現し、高級クラブを経営。バブル崩壊後に帰阪し、焼肉店から出直し。だが、狂牛病による打撃や火事で店舗消失など苦難の連続。乾坤一擲(けんこんいってき)、2006年に洋菓子・喫茶のマダムシンコをオープンし、それが大ヒットした。男前の社長、川村幸治さんとの二人三脚もいい。

 売り方はどうか。箕面本店を始め直営3店で飲食兼販売、川西阪急など3カ所にデパ地下ショップがある。どこも在庫は少なく、売り切れ必至。自社と楽天のオンラインショップで通販もするが、受注後最短で1週間後の発送である。全国に出張対面販売(販売期間は短い)も行うのは、新規開拓狙い。希少性と量販を巧みにバランスさせる機微がある。

 注目は“顧客対応”。マダムシンコのブログでは、会長自ら書き込みをしており、顧客の賞賛にもクレームにも、真っ直ぐ対応する。例えば、次のような意見。

 「1つ残念なことにネットではおいしく食べれるように説明がありましたが、通販購入では食べ方のしおりがありませんでした」

 マダムシンコはこう答えた。

 「おかげで、当たり前と思っている事が、少し忘れていたかも分かりません。常に反対の立場になって全てをと……いうのが、マダムシンコでした。言い訳をするつもりはありませんが、いれわすれはだめです。そんな事があったらあかん! とおもいまして、箱の後ろをと、、、食べ方を、美味しい食べ方と、印刷をしています。 やはり、御客様には分からなかつた事ですので、改めてもう一度考え直します」(「マダムシンコの素敵な人生」より)

 だが、なぜ“バウムクーヘン”なのだろう? 今なぜ定番が注目されるのだろう?

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