経済指標は強弱まちまちだが、銀行の好調な決算発表を受けて堅調清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2010年10月19日 08時35分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>11143.69△80.91

<NASDAQ>2480.66△11.89

<為替:NY終値>81.26-81.32

経済指標は強弱まちまちだが、銀行の好調な決算発表を受けて堅調

 朝方発表された鉱工業生産指数は予想に反して前月に比べて下落となったこともあり弱含みの始まりとなりましたが、住宅価格指数が予想に反して上昇、銀行の決算も予想を上回ったことなどから買い直されて堅調となりました。金融緩和もある程度織り込まれた感はあるものの、金融緩和期待と好決算期待から堅調な展開となっています。決算発表を控えたハイテク銘柄も堅調となるなどドル安効果期待も根強く、堅調となる要因となりました。

 先週末に手仕舞い売りに押された商品相場も反発、堅調となったことや銀行株の反発で、信用収縮懸念も薄れ週末のヘッジ売りの買い戻しも見られたものと思います。芳しくない経済指標も金融緩和期待につながり、好決算や好調な経済指標は素直に好材料として反応するというようにドル安効果に加え、金融緩和効果からのリスク許容度の上昇も感じられます。好決算が期待されたハイテク銘柄が引け後の好決算発表で手仕舞い売りに押されているように、好決算も追加の金融緩和も織り込まれているのでしょうが、雰囲気は悪くないようです。

 個別には予想を上回る決算を発表したシティグループが大幅高、連れてバンク・オブ・アメリカも大幅高、JPモルガン・チェースも堅調となるなど金融株が軒並み堅調となりました。決算発表を引け後に控えていたIBMやアップルも堅調となりましたが、引け後に好決算を発表したに関わらず、時間外取引では大幅安となっています。原油や金の先物価格も高く、エクソン・モービルやシェブロンなど石油株、ニューモント・マイニングなどは堅調となりました。インテルやGE(ゼネラル・エレクトリック)が軟調、アルコアやキャタピラーは堅調となるなど、景気敏感銘柄などまちまちとなって、目先的な高円警戒感が出ているものもあるようです。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は為替が円高に振れるなかで、米国ハイテク株高を好感するような動きも見られました。指数は方向感のない展開となりましたが、円高が進むことによって、輸出株が売られるというよりは指数の上値が重くなるような感じで、相変わらず物色対象も絞り切れず目先の需給に振らされているものと思います。金融株が売られ、金融不安が強まったように信用収縮の動きもあり、全体に上値の重い展開となりました。

 米国株は堅調となり、特に銀行株が堅調となったことから、日本市場でも売られていた銀行株などが買い戻されて、相場全体も堅調な展開が期待されます。ただ、為替が円売り介入警戒感も薄れて円高気味であり、相場の足を引っ張ることになりそうです。米国ハイテク銘柄も好決算を発表しながら時間外取引で売られており、総じて堅調ながらも上値の重い展開となりそうです。商品相場が堅調、信用収縮懸念も薄れたことから、商社株などエネルギー関連、資源関連銘柄の出直りは期待できるかもしれません。

 日経平均は引き続き9500円〜600円水準でのもみ合いとなりそうです。新興国経済の拡大効果から企業業績自体は思われたほど悪くないのですが円売り介入が期待できないなど円高に対する警戒感が根強く、上値も限定されてしまうのでしょう。逆に足元の業績は好調と言うことであり、金融不安が取りざたされることがなければ大きな下落も考え難く、指数は狭い範囲での動きが続くものと思います。

本日の注目点

◇10月の月例経済報告

◇9月の全国粗鋼生産

◇5年物国債〔10月債〕入札

◇4−9月期決算:東京製鉄

◇ロックハート・アトランタ連銀総裁が講演

◇フィッシャー・ダラス連銀総裁が講演

◇9月の米住宅着工件数

◇10月の欧州経済研究センター(ZEW)のドイツ景気予測指数

◇7−9月の香港失業率

◇海外7−9月期決算:バンカメ、ゴールドマン・サックス、コカ・コーラ、ヤフー、ジョンソン・エンド・ジョンソン

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