ベルリンの壁崩壊から20年……その後の姿に迫る松田雅央の時事日想(4/4 ページ)

» 2010年10月19日 08時00分 公開
[松田雅央,Business Media 誠]
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 トラバントに限らず国営工場は軒並み倒産。旧東ドイツ地域に企業を誘致できればいいのだが、人件費がとりわけ安いわけではないから製造業にはメリットがない。ドイツの企業であっても、東ドイツを素通りして隣のポーランドや、さらに東にある国々へ工場を建設することになる。

 ただし明るい話題がないわけではない。旧東ドイツ時代の教育水準が高かったため、ハイテク関連の研究施設や再生可能エネルギー、特にソーラー関連産業が育っている。

 ドイツ人はさまざまな物事にランキングをつけるのが好きで「今後の成長が見込める都市ベスト50」というのもある。経済成長、人口動態、労働市場、教育水準など、都市の活力がどれほど伸びるかを予測するものだ。ドイツ再統一後、このランキングとは無縁だった旧東ドイツ地域の都市がここ2〜3年やっと顔を出すようになってきた。例えばドレスデンやライプツィヒなどの評価が高い。

 しかしながら旧東ドイツにとって、今後の道のりは厳しいだろう。これまでの20年が負の遺産を支払う時期であったのならば、今後の20年は緩やかながらも成長の時期となってほしいものだ。

ベルリンの運河を巡る観光船。正面に見えるのはベルリン大聖堂
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