既卒・無職なのに内定3社……それでも就活を続けるワケ(1/2 ページ)

» 2010年10月19日 08時00分 公開
[荒川大,INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール:荒川大(あらかわ・ひろし)

株式会社ENNA代表取締役。「人的リスクマネジメント」をキーワードとして、内部統制対応の人事コンサルティング、IT統制対応の人材派遣、メンタルヘルスのカウンセリングを提供している。


 自民党政権最後の置き土産である「緊急人材育成基金事業」ですが、そのほとんどがIT関連講座で就職できるはずもなく、いったんは民主党の事業仕分けの対象となりました。しかし、ここにきて「円高放任」のおかげで景気が悪化しているため、基金事業の継続に対する予算が付くようです(臨時国会では予算審議がまったく行われていないみたいですが……ちぐはぐですね)。

 さて、この職業訓練プログラムの中で、東京都専修学校各種学校協会という団体が開催している「非IT」「非資格取得」のプログラムである「基礎演習講座」を私が担当しています。予定通りというか計画通りというか、正社員を希望する20代受講生の4分の3は内定を得られているところまでたどり着きました。

 しかし、ここからが問題でして……。既卒で無職でも3社から内定を得ながら就職活動を継続している20代男性がいらっしゃるのです。私は就職氷河期まっただ中に就職活動をして、転職をして、自身の会社を始めて4年が経過するのですが、この不景気な時期に「内定を辞退する」、しかもそれを3回もやってのける20代の方の考えや気持ちがどうも理解できなかったりするわけです。

 講座の中では、良い会社に就職するための情報収集や判断基準、「そもそも良い会社とは何か」といった話から、「入社すること」ではなく「入社してから早く評価されるための技」まで広く指導しました。しかし、若い受講生たちは「良い会社に入社する」という呪縛から逃れられない状況にあるように見えるわけです。

 もちろん、私は正社員として多数の派遣社員や契約社員の方々とも仕事をしてきましたので、雇用形態や会社の規模、会社の将来性などが気になることは分かります。しかし、そもそもアルバイト経験が数年という状況から正社員として働けるという環境が目の前にありつつ、ほかの会社に目移りする状況って……と首をかしげてしまいます。

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