「高い美意識と審美眼を持ち、本物を知った30代男性」に向けたライフスタイルのクオリティアップを提案する、インターネットメディアです。アート、デザイン、インテリアといった知的男性の好奇心、美意識に訴えるテーマを中心に情報発信しています。2002年11月スタート。
※この記事は、エキサイトイズムより転載しています。
100年ほど前、銅の精錬所「犬島精錬所」が開設され、最盛期には工員やその家族で人口3000人を越えていた犬島。しかし、銅の価格が大暴落し、わずか10年ほどで精錬所は閉鎖、跡地はそのままの状態で長く放置されていた。2010年現在の犬島の人口は55人。小中学校が閉鎖され、世帯の高齢化が進む中、2001年に精錬所跡地に、新たな地域創造のモデルとして循環型社会を意識した「犬島アートプロジェクト」が始まった。その第一期に公開された施設が、2008年4月にオープンした犬島アートプロジェクト「精錬所」だ。
「精錬所」のキーワードは「産業遺産・建築・現代アート・環境」。近代化産業遺産である遺構をそのままの形で保存しながら、三分一博志氏による建築と、その建築と一体になった形で展開する柳幸典氏のアートワークを設置している。ほぼそのままの形で残されている巨大な煙突や発電所、精錬過程で発生する鉱滓からなるカラミ煉瓦で造られた工場は、圧倒的な存在感を放つ。
柳幸典氏の作品は、戦後日本を代表する作家、三島由紀夫をテーマとしたものだ。東京都渋谷区松濤にあった旧三島邸の廃材や映像を使った体験型の作品は、圧倒的な力を持つ場と相まって、強いメッセージ性を持っている。
そしていよいよ今年、プロジェクトは第二期を迎えた。新たに公開されたのは島内4カ所に点在する、犬島「家プロジェクト」だ。過疎化が進む集落内の空き家をアートで再生する試みで、犬島では初めてのこと。キュレーター・長谷川祐子氏、建築家・妹島和世氏という金沢21世紀美術館オープンに寄与したふたりとともに、「精錬所」を手がけたアーティスト・柳幸典氏の3人でプロジェクトにあたった。
「家プロジェクト」を巡る島内ルートは、左まわりか右まわりのどちらかを選ぶことになる。左まわりのルートで最初に出会うのが、F邸「山の神と電飾ヒノマルと両翼の鏡の坪庭」(2010年)だ。
山神社の下の傾斜地に位置するF邸はガラス張りの日本家屋。敷地の下には桃の木が植えられており、そこから家屋を見上げると、家の中にこうこうと光る電飾の日の丸を目にすることができる。
Copyright (C) 1997-2014 Excite Japan Co.,Ltd. All Rights Reserved.
Special
PRアクセスランキング