雇用指標の悪化や住宅差し押さえ問題もあって軟調清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2010年10月15日 08時46分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>11094.57▼1.51

<NASDAQ>2435.38▼5.85

<為替:NY終値>81.48-81.54

決算は好調だが、雇用指標の悪化や住宅差し押さえ問題もあって軟調

 目先的な過熱感が出ていることから利益確定売りに押されて軟調な始まりとなりました。金融緩和期待は根強いものの、朝方発表された新規失業保険申請件数が予想を上回り雇用の悪化が懸念されることもあって、売り急ぐ場面もありました。また、住宅差し押さえ凍結が長引くと金融機関の業績に悪影響を及ぼすとして金融不安も浮上、軟調となりました。それでも引けを意識する時間帯からは引け後の決算期待などもあり、買い戻しも入って下げ幅縮小、指数は小幅安となりました。

 決算発表も続々と行われていますが、総じて堅調な底堅い決算となっており、金融緩和期待と共に強気な要因となっています。また、金価格が依然として強含みに推移しているように、「金余り」とも思われる動きも見られ、「過剰流動性相場」の側面も出ているのではないかと思います。金融緩和をかなり先取りした格好ではあるのですが、好調な決算には今後も素直な反応となって来るのではないかと思います。この日の引け後に発表された決算も好調なものが多く、時間外取引では大幅高となっています。

 個別には住宅差し押さえの凍結が長引けは業績への影響も出てくると懸念されて、バンク・オブ・アメリカやシティグループが大幅安、JPモルガン・チェースも軟調となるなど金融株が軒並み軟調となりました。金先物価格は最高値更新ですが、利益確定売りに押されてパブリック・ゴールド、ニューモント・マイニングの金鉱株が軟調、アルコアやキャタピラー、GE(ゼネラル・エレクトリック)など景気敏感銘柄も軟調となりました。ヤフーが買収に絡んで大幅高、インテルやIBMも利益確定売りをこなして堅調、ハイテク銘柄は総じて堅調となりました。決算発表を控えていたAMD(アドバンスト・マイクロ・デバイス)やグーグルは軟調となりましたが、引け後発表された決算が両社とも好調で、時間外取引では大幅高となっています。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は為替が大きく円高に振れたにも関わらず米国株高などを好感して買い先行となり、堅調、大幅高となりました。ただ、円高にもかかわらず、輸出株が買われるなど外部環境と関係のない目先の需給要因で買われた感もあり、持高調整の動きだと思われます。11月末決算のファンドの「45日ルール」の期日でもあり、為替や債券なども絡めての持高調整が行われたのではないかと思います。

 米国市場は底堅さは見られるものの利益確定売りに押されて、日本市場も昨日の大幅高の反動もあって上げ一服、上値の重い展開となって来るのではないかと思います。円高もいっこうに止まらず、企業業績への懸念が強まるものと思われますし、昨日の大幅高も金利低下や業績面から見直されたというよりは持高調整といった目先の需給要因で押し上げられたものも多く、週末の利益確定売りもあって上値の重い展開となりそうです。円売り介入でもあれば、ヘッジ売りや手仕舞い売りをこなして堅調な展開が期待されますが、商社株など一部の銘柄は目先的な過熱感も出ており、上値の重さを確認しては手仕舞い売りに押されることになりそうです。

 日経平均は引き続き9500円〜600円水準でのもみ合いが続くものと思われます。円売り介入でもあれば一気に9800円〜900円水準の上値を試すことになるのでしょうが、逆に円高が進むようであれば、手仕舞い売りを急ぐ展開で下値を試すことになるのでしょう。今度も9500円水準を保てるのかどうかが注目され、再び9500円水準を割り込むと改めて9500円〜600円水準での上値の重さを確認することとなって、下値の節目である9200円〜300円水準を試すことになりそうです。

本日の注目点

◇8月の鉱工業生産指数確報(経産省)

◇日銀支店長会議

◇白川日銀総裁が全国信用組合大会であいさつ

◇10月の米消費者態度指数速報値(ミシガン大学調査)

◇10月のニューヨーク連銀景気指数

◇9月の米小売売上高

◇9月の米CPI

◇8月の米企業在庫

◇バーナンキFRB議長講演

◇海外7−9月期決算:GE、マテル

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