会社はユニオンを怖がっている……その“噂”は本当なのか吉田典史の時事日想(1/4 ページ)

» 2010年10月15日 08時00分 公開
[吉田典史,Business Media 誠]

著者プロフィール:吉田典史(よしだ・のりふみ)

1967年、岐阜県大垣市生まれ。2005年よりフリー。主に、経営、経済分野で取材・執筆・編集を続ける。雑誌では『人事マネジメント』(ビジネスパブリッシング社)や『週刊ダイヤモンド』(ダイヤモンド社)、インターネットではNBオンライン(日経BP社)やダイヤモンドオンライン(ダイヤモンド社)で執筆中。このほか日本マンパワーや専門学校で文章指導の講師を務める。

著書に『非正社員から正社員になる!』(光文社)、『年収1000万円!稼ぐ「ライター」の仕事術』(同文舘出版)、『あの日、「負け組社員」になった…他人事ではない“会社の落とし穴”の避け方・埋め方・逃れ方』(ダイヤモンド社)、『いますぐ「さすが」と言いなさい!』(ビジネス社)など。ブログ「吉田典史の編集部」、Twitterアカウント:@katigumi


 「ユニオンに入って会社と闘う!」「ユニオンの名前を出せば、社長は怖がる」――。

 インターネットで労働組合の「ユニオン(コミュニティ・ユニオン)」を検索すると、掲示板やブログにこのような勇ましいことが書かれてある。

 その内容を読むと、30代前半までくらいの人が書いたものが多いようだ。わたしの想像の域を出ていないが、これらを書いた人はユニオンのことをほとんど知らないと思う。ましてや、会社と法的に争った経験はないだろう。なぜなら書かれてある内容があまりに事実と違うからだ。少なくともわたしがこの10数年、ユニオンを取材し、知り得たこととは全く違う。

 今回の時事日想は、ネット上で書かれてある労働組合ユニオンの「噂」について論を進めたい。わたしが特に気になるのは、以下の3点である。

(1)ユニオンに入れば、トラブルは本当に解決する

(2)ユニオンの名前を出せば、会社は怖がる

(3)ユニオンは、労働者からお金をむしり取っている

ユニオンは応援団でしかない

 これから述べることは、わたしが取材で感じ取ったことであることをあらかじめ述べておく。まず(1)だが、ユニオンに入ろうとも、トラブルが解決しない場合はある。労働局、労政事務所など公的な第三者機関であっせんや調停をした場合、解決率は大体7〜8割だ。おそらく、ユニオンもこれくらいの数字なのではないかと思う。

 通常、解雇や賃金不払い、退職強要、セクハラなどに直面した人がユニオンに入ると、執行部の役員らとともに会社の人事部、役員、経営者と団体交渉をして解決を図ろうとする。当事者はあくまで問題を抱え込むその本人であって、ユニオンは応援団でしかない。本人に闘う意思がなければ、おのずと解決する可能性は低くなる。

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