nendo×水木しげるが初コラボ「妖怪だるま」

» 2010年10月14日 19時30分 公開
[上條桂子,エキサイトイズム]
エキサイトイズム

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※この記事は、エキサイトイズムより転載しています。


 2010年は水木しげるイヤーである。NHK朝の連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」が大ヒットし、映画化もされ、水木しげるの故郷である鳥取県境港市は観光客で大賑わい。また、水木しげる先生の米寿記念で開催された銀座松屋の「ゲゲゲ」展は連日大混雑、グッズを買うのもひと苦労したという方も少なくはないだろう。

 キャラクターグッズというのはほんとうに多種多様で、中には「誰が買うの?」と思わず首を捻りたくなるようなモノもある。それは、質が悪いといっているのではなく、鬼太郎のファン層は幅広いので子どもからお年寄りまでヒットするような商品が作られているということだ。

 そんなゲゲゲグッズに、デザイン好きをうならせるプロダクトが発売された。佐藤オオキ氏率いるデザインオフィスnendoがデザインを手がけた「妖怪だるま」である。

エキサイトイズム 各2100円 77×79×76ミリ(幅×高さ×奥行き)

 これは、イデアインターナショナルの新しいプロジェクト「妖怪ふぁんど」の第1弾としてスタートしたものだ。「妖怪ふぁんど」とは、日本から生まれた「妖怪」と、伝統工芸の技術、そしてデザインの力を組み合わせ、新たな地域復興・活性化を目指すプロジェクト。出資者を募り、出資の見返りに限定商品の購入権や、イベントへの招待などのメリットを掲げ、資金を製造費に充てるという新たな試みである。

 何故、「だるま」になったのかと、デザイナーの佐藤オオキ氏に尋ねると、「最初は、妖怪を使った商品を何か提案して欲しいという依頼でした。そこでnendoからダルマを提案しました。ダルマ(やコケシ)はフィギュアの原点という認識を以前からもっており、妖怪のキャラクター性を表現するのに、とても適していると思ってのことでした」。

 伝統工芸の技術としてイデアインターナショナルが目を付けたのは、岐阜県多治見。「白雲」という陶磁器製置物のために開発された素地を使い、職人たちが1枚1枚転写シートを張り付け、つるんとした妖怪だるまができ上がる。低温でじっくりと焼き上げるため、色の再現性が高く、写真のようなキレイなカラーを表現することができたという。だるま作りで難しかった点を佐藤氏に聞いた。

 「ダルマという形状が決まっていることや、使用できる色数が限られている中で、妖怪のキャラクター性を表現することが難しかったです。実際に、100体以上の妖怪の似顔絵を、妖怪の図鑑などを基に描いたのですが、背面の情報が一切ない妖怪もいたりで、想像しながら頑張りました(笑)」

 キャラクターグッズはデフォルメとバランスが非常に重要になると思うのだが、このだるま、ほんとに絶妙である。グラフィカルにデザインしつつも、キャラクターごとの特徴をよくとらえている。また、思わず触れたくなるつるんとした陶器の質感もいい。ちなみに佐藤オオキ氏が好きな妖怪は「いったんもめん」だそう。

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