買い先行だが円高が重しで上値が重い清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2010年10月13日 17時02分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 注目されたインテルの決算も好調、朝方発表された機械受注も予想を大きく上回るなど、株式市場にとっては本来であれば素直に好感するような材料も多かったのですが、円高が一服となったとは言え、円安に振れることもなく、期待された介入もなかったことから、上値も限定的となりました。ちょっとでも円安に振れると買戻しも交えて買い急ぐ動きも見られるのですが、円安方向への動きが続かないとすぐに売り直されてしまうと言うことのようです。

 チリ落盤事故の救出が始まり、無事に救出出来ているようです。冴えない相場展開と暗いニュースが多い中で明るいニュースを聞くと少し救われた気がします。株式相場は相変わらず円高を嫌気して冴えない展開となっていますが、為替の影響の少ない銘柄や円高メリットのある銘柄なども物色されず、円高を嫌気しているとは言っても、株式投資に対する魅力が少ないということなのだと思います。

 株式投資に魅力を感じないということは日本企業の先行きに対して期待できないということになってしまいそうです。米インテルの決算を見てもドル安効果と言う面も大きく、米国政府のドル安政策がうまく機能していると言うことでしょう。それに対して、日本では為替に対して懸念は認めつつも全く手も足も出ないという状況でまるで円高容認とも取れる政策では輸出企業への投資も期待できないでしょう。また、目先の動きばかりではなく、もっと長い目で見ても日本のとるべき道も見えておらず、企業は企業で勝手に存続を考えていかなければならないということでしょう。

 米国での株価の動きへの反応も鈍くなっており、これまでの米国株に連動した動きということにはならないのでしょう。かと言って中国株の動きなどは全く日本の企業には関係なく、中国株式市場の動向も参考にならず、何を見て売買をすればいいのかということになりそうです。ある銘柄は為替の動向、ある銘柄は貴金属の市況、などと言うように、個別に対応せざるを得ないのでしょう。大きな流れとすれば、世界的な経済が拡大しており、日本企業でもしっかりと業容拡大、収益拡大が図れている企業もあり、それらの企業に注目して見ると良いのだと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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