コラム
» 2010年10月13日 08時00分 UPDATE

企業はサプライヤの広告に協力すべき?――Dell「信じる道をいこう」キャンペーン (1/2)

Dellの「信じる道をいこう」というキャンペーンはうまくやっていると評価する筆者。このDellのキャンペーンを題材に、買い手企業が無料で広告宣伝してもらった上で、対価がもらえる機会があることを紹介する。

[中ノ森清訓,INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール:中ノ森清訓(なかのもり・きよのり)

株式会社戦略調達社長。コスト削減・経費削減のヒントを提供する「週刊 戦略調達」、環境負荷を低減する商品・サービスの開発事例や、それを支えるサプライヤなどを紹介する「環境調達.com」を中心に、開発・調達・購買業務とそのマネジメントのあり方について情報提供している。


 広告宣伝で最も効果の大きいのは口コミである。顧客が自社の商品・サービスを宣伝してくれること。特に、広告宣伝の機会が限られているBtoBの商売ならなおさらだ。

 Dellの「信じる道をいこう」キャンペーンは、自社の顧客のベンチャー企業の社長何人かに登場してもらって、自社Webサイトや新聞の全面広告、電車の吊り広告などで展開している。

ah_sinzi.jpg Dell「信じる道をいこう」キャンペーン

 こうしたように顧客から全面協力を得た広告宣伝は、口コミとほぼ等しい効果を発揮する。このキャンペーンは見た目から広告主であるDellが仕掛けていることは明らかだが、顧客の全面的な協力があることが分かる内容となっているので、口コミと同等の効果を得られるものになっている。

 こうした広告を実施する時の制作費は、著名なタレントやセレブリティを使うのに比べて、少なくて済む。広告対象とまったく関係のないタレントやセレブリティがにっこりほほえんで「これがいいですよ」と勧めるよりも、実際の顧客からのお勧めの方がよほど説得力がある。

 問題は、日本企業の買い手企業は、どんなに売り手の商品・サービスに満足していたとしても、こうした広告宣伝への協力は嫌がる傾向にあることだ。まだまだ、こうした手法が日本に浸透しておらず、そうした要請を受けることに買い手企業が慣れていないということもあるだろう。大企業では実際のエンドユーザーだけでなく、広報など商品・サービスの恩恵を受けていない部門を通さなければならない、ということも買い手企業がこうした協力を嫌がる理由の1つだ。

 本来は、協力をお願いされる買い手企業にしてもお金を掛けずに露出が増えるので、悪い話ではない。加えて、こうした広告に協力をお願いする際には、製品やサービスを大幅に値引きしたり、値引きどころか、売り手企業が謝礼を支払うことも少なくない。

 しかし、こうした実際のキャッシュメリットを提供しても、広報・マーケティング部門では「協力先が後で問題を起こしたら大変」と、なかなか首を縦に振ってくれないもの。「それより、自分で大金を払って広告を出した方が良い」という判断をする。

 そうした点では、Dellがベンチャー企業、成長企業の経営者に協力先を絞ったのはうまい戦略だ。ベンチャー企業や成長企業は、自身が広告宣伝媒体での露出を得ることが難しいことを肌で感じている。また、キャッシュにシビアなので、「宣伝協力することで自社のキャッシュフローが改善できるなら」と協力に乗ってくれやすい。上の人間になればなるほど、こうした感覚が鋭いので、これらの層に話を持っていけば、首を縦に振ってくれやすい。

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