持高調整の売りとM&Aを好感する買いなどが交錯清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2010年10月08日 08時41分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>10948.58▼19.07

<NASDAQ>2383.67△3.01

<為替:NY終値>82.36-82.42

持高調整の売りとM&Aを好感する買いなどが交錯

 朝方発表された新規失業保険申請件数が予想を下回ったことを好感して買い先行となりましたが、決算発表の本格化や週末の雇用統計の発表を控えた持高調整の売りも嵩み軟調となりました。ナスダック指数はM&A(企業の合併・買収)に絡む話題もあって小幅高となりましたが、ダウ平均は軟調となりました。引き続き金融緩和期待が強く、売り急ぐ動きもなかったのですが、持高調整の売りや、目先的な過熱感から商品相場が下落したことを受けて軟調となりました。

 景気回復鈍化懸念から金融緩和期待が根強いのですが、足元の雇用指標は好転しており、この日発表された小売り各社の9月の既存店売上高も全体で見ると予想を上回るなど、決して景気の鈍化を示すものでもなく、今後の決算動向や経済指標の動向次第では金融緩和を期待する動きではなく、順調な景気回復を好感する動きとなって来るのかもしれません。欧州でも景気の回復を確認するような動きとなっており、金融不安も薄れているものと思います。

 個別にはマイクロソフトによるアドビ・システムズ買収の可能性が取りざたされてアドビ・システムズが大幅高、マイクロソフトも堅調となりました。既存店売上高が予想を下回ったギャップは安く、。予想を上回ったJCペニーやアバークロンビー・アンド・フィッチは大幅高となりました。四半期決算と併せて通期の1株利益の伸び率の予想レンジを引き下げたペプシコが軟調、決算の発表を控えたアルコアも商品相場の下落もあって軟調となりましたが決算発表で売上高や1株利益が予想を上回り、アルミ需要に赤い類見通しを示したことで時間外取引では買われています。IBMやインテルなどハイテク銘柄は堅調なものが多く、IBMは引け値ベースで上場来高値更新となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は金融緩和を好感して銀行株や不動産株、建設株など内需銘柄は堅調となりましたが、為替が円高に振れたことから上値も重くなりました。それでも、「円高」というよりは「ドル安」といった状況で、ハイテク銘柄や自動車株なども買い戻しも交えて堅調となるものも多く底堅さも見られました。持高調整も見られる目先的な動きが中心で方向感はないのですが、強含みの地合いと見てもよさそうです。

 米国市場はまちまち、底堅い展開となったのですが、為替が円高に振れたこともあり、日本市場は軟調な展開となりそうです。欧米が通貨安効果で順調な景気回復を示す中で、後手に回った日本が出遅れてしまった感じです。内需中心の経済拡大に移行するのか、円安として輸出主導の経済拡大を図るのかが見えず、週末の米国の経済指標の発表やG7を控えて動き難いところだと思います。商社株や非鉄株は商品相場が上げ一服となったこともあり、手仕舞い売りに押されるのでしょうし、輸出株は円高が懸念されて買えず、建設・不動産株など内需株物色が続くのでしょう。

 オプションSQ(特別清算指数)は特に問題となることもなく、引き続き為替動向を気にしながら9500円〜600円水準での底堅さを試す動きとなりそうです。少なくともここで大きく円安に振れるということでもない限り、積極的に上値を買い上がるような展開は期待されず、週末の手仕舞い、持高調整の売り買いが中心となって指数は小動きとなって来るのだと思います。指数に影響の大きな値がさ銘柄などに持高調整の売りが嵩むと大きな下げとなるかもしれません。

本日の注目点

◇8月の国際収支(財務省)

◇9月の対外・対内証券売買契約(財務省)

◇9月の景気ウオッチャー調査(内閣府)

◇日銀金融政策決定会合議事要旨(8月30日、9月6−7日分)

◇9月の企業倒産(民間調査会社)

◇株価指数オプション10月物の特別清算指数(SQ)算出

◇3−8月期決算:良品計画(7453)、ダイエー(8263)

◇8月期決算:ファストリ(9983)

◇9月の米雇用統計

◇国際通貨基金(IMF)・世界銀行年次総会(ワシントン、10日まで)

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