仕事柄、毎日たくさんのビジネスマンにお会いします。お会いしてしばらく一緒の時間を過ごすと、その立ち居振る舞いから仕事の基本ができているかどうかは、だいたい分かるものです。「この人は仕事の基本ができているなあ」と思う時と、言い方がきついですが「この人は何年仕事をしているんだろう」と思うくらい基本が感じられない人もいます。
恐らく、その差というものは、新入社員から数年間の間に厳しい師匠に付くことができたかどうかということだろうと思います。
厳しいというのは、ただガミガミ怒るということとは違います。仕事をよく見ていてくれて、基本を叩き込んでくれるかどうか、ということです。上司がそういう人でなかった不幸な人は、他に師匠を求めなくてはなりません。隣の部署の先輩であれ、社外の人であれ、自分に厳しいことを言ってくれる人は絶対に必要なのです。
そういう師匠を持たない人や、いたとしても、そこから逃げる人が成長する確率は圧倒的に低いと言わざるをえません。
人間として目標となる人がいる人は幸せです。
「キャッチアップ戦略」という言葉があります。「キャッチアップ戦略」とは、発展途上の立場で理想とする対象をことごとく意識して、時には真似し、時には自分なりのやり方を編み出しながら、追い続けることで成長していくことを言います。国や企業で一般的に使う言葉ですが、個人であっても同じことだと思います。
「この人は……」と生きるモデルにできるような、「すごい」と思える人に出会えたとすれば人生の最高レベルの幸運と言えると思います。
人間には誰でもデコボコがありますから、それが1人でなくてもいいのです。この人の生き方のこの部分は見習おう。別のこの人のこの部分は見習おうと、見習うところを探しながら付き合うのが、人との上手な付き合い方だと思います。
早いうちから自分が追い求めるテーマを決めて、それぞれのテーマごとに師匠を決めて取り組むことがそれぞれのレベルを上げることにつながります。
これはビジネススキルの上でも同じことが言えると思います。
プレゼンテーションスキルについては誰々、企画書作成については誰々、時間の使い方については、誰々……。分野別に、いつでも教わることのできる人を師匠に持つことが最強のビジネスマンへの道です。本を読むことも、セミナーに行くことも学びの方法としていいと思いますが、最高レベルは人から学ぶことです。
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