コラム
» 2010年10月06日 08時00分 UPDATE

戦略転換は進化なのか? ライトオンとしまむらに学ぶ一貫性の重要さ (1/2)

再三のNB化への転換で利益増をもくろむライトオン。それに対し、「餅は餅屋」と仕入れに徹底し、SPAとの差別化を測るしまむら。この両社の戦略とその結果の違いは何を意味しているのだろうか?

[猪口真,INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール:猪口真(いのぐち・まこと)

株式会社パトス代表取締役。


 アパレル小売業界は、国内外のファストファッション化やデフレの流れの中、販売不振にあえぎ、再三の戦略見直しを迫られている。

 中でも象徴的なのがライトオンだ。2010年8月期決算を見てみると、大幅な減収減益に終わっている。売上は869億7500万円(前期比13.5%減)、経常利益は12億1300万円(同55・8%減)、当期損失は4億7200万円となっている。

 そしてライトオンはこの結果に対し、またまたNBへの回帰戦略を打ち出した。大量生産による利益率の向上を狙って実施したPB化戦略だが、大量生産ゆえに消費者のニーズ多様化と逆行、そしてさらなる販売不振による在庫過多などの問題が表面化し、もう何度目か分からない戦略変換を余儀なくされることとなった。

 業界では有名だが、ライトオンはPBへの集中投下(SPA※化)とNB重視の戦略を何度も繰り返している。ものづくりノウハウが十分とは言えない安易なPB化の推進は、一瞬の利益率の改善を生むことはあるが、利益率重視の大量生産、大量陳列が、多様化するユーザーニーズに応えられるとは思えないし、一過性のSPA戦略ととったところで、ユニクロや無印にかなうわけはない。ヒートテックが一夜にして生まれるはずがないのだ。

※SPA……specialiy store retailer of private lavel apparel。製販を一貫する効率的な流通とブランディングのビジネスモデル

 こうした流れはセレクトショップでも同様だ。デフレの波に打ち勝つことができず、安易なローコスト商品を中心とした品揃えばかりのセレクトショップは完全に個性を失い、いつのまにかライバルが数多くあるファストファッションになってしまった。

しまむらは好調

 一方、デフレの象徴と揶揄(やゆ)されることもある「しまむら」は相変わらずの好調ぶりを示している。

 しまむらの上期3〜8月期の連結営業利益が前年同期比7%増の約180億円と過去最高益となった模様で、全体の売上高は主力の「ファッションセンターしまむら」の既存店は売上が2%減となったものの、2160億円と2%増となった。さらに、2011年の通期は売上高が前期比4%増の4481億円、営業利益が6%増の392億円と2期連続の過去最高を見込んでいるという。

 しまむらの野中社長は、8月18日のJ-CASTニュースのインタビュー記事の中で、「餅は餅屋。物を売るのが私たちの仕事です」と明確にしまむらのドメインが何であるのかを語っている。

 さらに、「当社では、追加仕入れをほとんどしません。違うものを仕入れる方がお客様に楽しんでもらえると思うからです。当社の場合、週に6回は新しい商品が店頭に並びます」と顧客の立場に立った商品戦略を語る。世界中のメーカーを尊重し、そして顧客に喜んでもらえるために、自分たちができることを徹底的に追及していることの表れだ。

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