コラム
» 2010年09月30日 08時00分 UPDATE

相場英雄の時事日想:“死んだ”に等しい検察は、蘇ることができるのか (1/3)

大阪地検特捜部検事による捜査資料改ざん事件で、特捜部の歪んだ実態が浮き彫りになった。いわゆる“特捜神話”は地に落ちた格好だが、国民からの信頼を回復することができるのだろうか。

[相場英雄,Business Media 誠]

相場英雄(あいば・ひでお)氏のプロフィール

1967年新潟県生まれ。1989年時事通信社入社、経済速報メディアの編集に携わったあと、1995年から日銀金融記者クラブで外為、金利、デリバティブ問題などを担当。その後兜記者クラブで外資系金融機関、株式市況を担当。2005年、『デフォルト(債務不履行)』(角川文庫)で第2回ダイヤモンド経済小説大賞を受賞、作家デビュー。2006年末に同社退社、執筆活動に。著書に『株価操縦』(ダイヤモンド社)、『偽装通貨』(東京書籍)、『誤認 みちのく麺食い記者・宮沢賢一郎』(双葉社)などのほか、漫画原作『フラグマン』(小学館ビッグコミックオリジナル増刊)連載。ブログ:「相場英雄の酩酊日記」、Twitterアカウント:@aibahideo


 郵便不正事件での証拠品改ざんが発覚、大阪地検特捜部の主任検事が証拠隠滅容疑で逮捕されるという前代未聞の事態が起きた。“特捜神話”は完全に地に落ち、国民の厳しい批判が検察庁に向かっているは当然のこと。検察内部の構造問題、あるいは今後の組織のあり方などについては他稿に譲るとして、今回の時事日想では、検察の信用回復の方策を探ってみたい。

過激なブラ下がり

 「報告はあったのか?」「組織ぐるみの隠蔽か」――。

 大阪地検特捜部の主任検事が逮捕された直後、最高検が同地検への捜査に乗り出すことが決まった。このあと、逮捕された主任検事の上司らが最高検の事情聴取で東京に向かう際、多数の記者やテレビリポーターに取り囲まれ、路上や駅の構内でICレコーダーやマイクを突きつけられていた映像をご記憶の向きは多いだろう。

 筆者の記憶によれば、地検幹部に対し、大勢の記者がこのような過激なスタイルでブラ下がり取材をした例は過去にないはずだ。前回の当コラムでも触れたが、検察への取材は相当に神経を使う。東京や大阪などの地検担当記者クラブの面子はもとより、大手紙やテレビ局の他部門の記者は検察が得意とする「出禁処分」を恐れるためだ。

 地検特捜部が扱う事件は、一面トップ、ニュース番組の目玉情報となるだけに、担当記者が遵守してきたさまざまな“お約束”を破ることを過度に警戒している。検察の機嫌を損ねて出禁処分を食らってしまえば、大手メディアが一番恐れる“特オチ”、すなわち1社だけネタを落としてしまう事態に直結する。従って、駅構内や路上でカメラやマイクを向けるなどの行為は御法度だったのだ。

 筆者がかつて金融事件の裁判取材を終えたあと、地裁内で担当検事にブラ下がっただけで、大目玉を食ったことがあるほどだ。

 大阪地検幹部に対する一連の取材は、今まで溜まりにたまっていたメディア側の鬱憤(うっせき)が一気に吹き出した結果であり、ある種歴史的な出来事だと筆者はみる。

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