ちきりん:これまでの日本社会は、企業と家庭が社会保障を担ってきました。しかし企業や家庭が行う社会保障は“崩壊”してしまったので、国に移すのはいいかもしれません。ただ現状、国の生産性がものすごく低いことが問題。非効率的であったり、ワイロをもらったりするので、分配機能としてうまく役割を果たせないかもしれません。
赤木:おっしゃる通りです。国に社会保障を任せられるのか、という問題がありますね。また国に任せれば、国がバーターとして何かを求めてくるでしょう。例えば「介護をやれ」と言ってくるかもしれない。ひょっとしたら徴兵制度ができるかもしれません。
ちきりん:大きな政府には、2つのタイプがあります。1つはたくさんの予算を持ち、その予算を現金として配る政府。もう1つは国が多数の公務員を抱え、仕事と権限を持つ政府。この政府はダムや高速道路を作ったりする。そして「国が人を雇用しましょう」という動きになる。赤木さんは前者の政府を望んでいるわけですよね。
赤木:そうです。同じ生活を守るにしても、これまでは箱モノを作ることによって建設関係の労働者にお金を渡してきました。しかし直接お金を渡した方が効率的です。
ただそうした方法論を考えるときに問題になるのは、人の嫉妬(しっと)だったりする。例えば貧しい人に対する手当てだと、「使い道を限定しろ」という意見が必ず出てくる。
ちきりん:「タバコを吸ってはいけない」とかですね。
赤木:「パチンコをしてはいけない」とか。お金を渡したら何に使われるか分からないので、「モノを渡せ」という声がある。しかしモノを渡すとなると、国がモノを選ばなければいけなくなる。そこで、どの企業からそのモノを購入すればいいのか、という問題がでてくる。そうするとゼネコンの談合とあまり変わらないことが起きてしまう。
なので単純に、お金をバラ撒くことがいいと思っています。
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