欧州金融不安が再燃も追加金融緩和期待やM&Aに絡む話題で底堅い清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2010年09月28日 08時37分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>10812.04▼48.22

<NASDAQ>2369.77▼11.45

<為替:NY終値>84.3-84.36

欧州金融不安が再燃も追加金融緩和期待やM&Aに絡む話題で底堅い

 先週末の大幅高の反動や欧州金融不安が再燃したことも嫌気されて軟調となりました。ただ、M&A(企業の合併・買収)に絡む話題が多かったことや追加金融緩和が取りざたされて買われ、堅調となる場面もあるなど底堅い展開となりました。センチメントの悪いときであれば、金融不安などには敏感に反応し売り急ぐような場面も出てくるのですが景気回復鈍化懸念が薄れており、利益確定売りを急ぐ場面はあるものの下値を売り叩き難くなっているようです。

 金融不安は気になるところですが、これまでも格付けの引き下げも影響は限定的と見られており、冷静に対処したものと思います。それよりも景気回復鈍化懸念が薄れたこと、特に企業の活動が活発となっていることで、輸出企業を中心とした企業業績の回復、順調な拡大から個人消費などの底堅さに結びついているとして、相場の地合いも好転していると見てもいいのでしょう。目先的な過熱感もあり、上値も重い場面もありそうですが、雰囲気は悪くなく、強含みの展開が続きそうです。

 個別にはアイルランドの大手銀行の長期債務格付けが3段階引き下げられたことが嫌気されて、バンク・オブ・アメリカやJPモルガン・チェースなど金融株が総じて軟調となりました。景気回復期待は根強いのですが利益確定売りもありインテルが軟調、IBMは堅調というようにハイテク銘柄はまちまち、景気敏感銘柄のキャタピラーやGE(ゼネラル・エレクトリック)やアルコアも利益確定売りに押されて軟調となりました。公的資金の返却に絡み政府管理からの脱却が取りざたされたAIG(アメリカン・インターナショナル・グループ)が堅調、短期的な投資判断が引き上げられた携帯電話大手スプリントが大幅高となり、AT&Tやベライゾン・コミュニケーションズが高くなりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は週末の米国株などを受けて買い先行となり、上値の重い場面もあったのですが、大幅高となりました。売買高も少なく盛り上がりに欠ける展開ではあったのですが、米国で半導体株が大幅高となったことなどから、半導体関連銘柄を中心にハイテク銘柄が高く、商品相場が堅調となっていたことから、商社株や非鉄株なども高く、持高調整の売りが一巡となったこともあり、大幅高となりました。

 米国市場は軟調、為替が若干円高気味で昨日の大幅高の反動も気になることから、上値の重い展開となりそうです。ただ、今のところ、欧州金融不安が世界景気の回復鈍化には直接結びつくこともなく、売り急ぐ動きも特に見られず底堅い展開となりそうです。日銀短観の発表を控えていることや中国問題など政治的な懸念材料も多く、利益確定売り、戻り売りを急ぐような場面もありそうです。持高調整の売り買いも一巡となりそうですが、円安に振れるようなことでもないと、配当落ち分を一気に埋めるだけの勢いはなさそうです。商品相場も堅調であり、商社株などは底堅い展開となるものと思います。

 日経平均は9600円水準まで戻りましたが、節目を抜け切った雰囲気でもありません。引き続き9500円〜600円水準が上値となるのか、底堅さを確認して下値となるのか、この水準を中心に方向感のない展開となりそうです。配当取り後の利益確定売りや期末を控えた手仕舞い売りが出るようであれば9200円〜300円水準の下値を試すことになりそうですし、業績上振れ期待が強まれば9800円〜900円の上値節目を試すことになるのでしょう。

本日の注目点

◇8月の自動車各社の生産・販売実績

◇2年物国債〔10月債〕入札

◇7月の米S&P/ケース・シラー住宅価格指数

◇9月の米消費者信頼感指数

◇海外6−8月期決算:ウォルグリーン

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.