コラム
» 2010年09月22日 08時00分 UPDATE

貧乏ゆすりでほめられる!? 振動を発電に活用

昔は貧乏ゆすりをすると怒られた。でも、これからは怒られるどころかほめられるかもしれない。それは、さまざまな企業が振動で発電する技術を研究しているからだ。

[中ノ森清訓,INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール:中ノ森清訓(なかのもり・きよのり)

株式会社戦略調達社長。コスト削減・経費削減のヒントを提供する「週刊 戦略調達」、環境負荷を低減する商品・サービスの開発事例や、それを支えるサプライヤなどを紹介する「環境調達.com」を中心に、開発・調達・購買業務とそのマネジメントのあり方について情報提供している。


 NTTデータ、トヨタ自動車、ホンダ、パナソニックなど国内23社が発電電子部品の普及を目指す企業連合を設立した。発電電子部品は、わずかな振動や熱をもとに発電をする電子部品だ。用途は、自動車の走行中の振動や熱を利用した車載センサーや操作スイッチ、設備の振動や熱を利用した工場内の監視センサー、ボタンを押した際の上下動を利用したリモコンなど。これらの開発が進めばエネルギーを活用できるだけではなく、製品の軽量化やコスト削減にもつながる(出所:2010年9月6日、日本経済新聞1面)。

 振動で発電する技術は、すでにいくつか実現している。例えば、駅の改札口。改札口に通過する乗客が踏むと発電する「発電床」を設置し、乗客の歩く力を電気エネルギーに転換している。

 首都高速道路の橋では、通過する自動車の振動を電気エネルギーに変換し、夜間照明の電源の一部に活用している。昼間通過した時の自動車の振動エネルギーも逃さずバッテリーに逐電した上でだ。

 サッカーJリーグ1部のヴィッセル神戸は、本拠地のホームズスタジアム神戸に、サポーターが応援する時に跳びはねて生じる振動で発電する床発電システムを今年の7月に本格導入している。なお、試験導入時の結果によると、神戸が破れた試合は神戸の勝ち試合の約6割程度しか発電されなかったとのこと。これからは、電力コストの観点からもチームは負けられないということだ。

 細かいところではスポーツジム。スポーツジムでは利用者がお金を払ってエネルギーを発散している。1人1人の発電量が少ないので実用化にはまだ時間がかかりそうだが、エアロバイクなどのエクササイズマシンやフィットネススタジオの床に発電装置を取り付ける試みはいくつか出てきている。発電と蓄電効率が今後の実用化の鍵か。

 振動とは少し異なるが、自転車に乗るついでに携帯を充電できるようにするデバイスも販売されている。6月3日付のBBC Newsによると、ノキアは自転車に取り付けると携帯を充電できるようになるキットを、今年の6月に欧州で発売している。同社の発表によると、2010年終わりまでには世界中に展開するとのことだ。類似のキットはほかの企業からも発売されている。

 こうしてみると、世の中には我々が垂れ流しにしているエネルギーが数多く転がっている。そうしたものを細かく広く蓄えていけば大きなエネルギーになる。しかも、その調達コストは設備への投資、メンテナンスコストを除けば無料だ。何せ、それらは今までそれらの供給者が気付かずに捨ててきたものだからだ。

 人が知らずに生じさせている振動や発散させているエネルギーに着目したこの試み。ほかにも意外なところに多くのエネルギー、エネルギー源が眠っているかもしれない。(中ノ森清訓)

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