米国株高に反応できず、先行き不安から手仕舞い売りが嵩んで軟調清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2010年09月21日 16時01分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 日本市場が3連休中の米国市場が大幅高となり、為替も落ち着いていたのですが、日本市場は反応は鈍く、中国問題や為替動向、景気の先行きなどに相変わらず悲観的な見方が多く、買い先行となったもののすぐに手仕舞い売りや見切り売りに押されて軟調となりました。米国市場ではセンチメントの好転も見られるのですが、持高調整の売りも嵩み軟調となったものと思います。売り急ぐ理由もないような銘柄まで売り急ぐ動きも見られ、目先の需給に振らされる展開は続いています。

 米国株高に連れて買い先行となったものの後が続きません。いったい何を「懸念」しているのかわかりませんが、ちょっとした材料に反応して売り急ぐ動きも見られ、買い気の乏しい中でねを崩す銘柄も多く見られました。業績動向などにも敏感に反応する動きとなっているようにも見えますが、悲観的な見方が強く、悪材料には敏感に反応し、好材料への反応は限定的となっているような感じです。

 最近の相場の傾向として「○○関連」などといったテーマ性に乏しい感じがします。個別の材料には反応しても業界の動向や経済の方向性に乗った動きというのが少ないような気がします。例えばここまで金価格が上昇しても金鉱山を保有しているような企業が買われることもなく、小麦の値段や粗糖の価格が上昇しても反応は全くと言っていいほどありません。反応が敏感な材料とすれば、増配や業績修正といったところで、個別にその場その場で反応してすぐに反応も終わってしまうということで、あくまでも目先の動きに反応して右往左往している感じです。

 「風が吹けば桶屋が儲かる」式の反応もその場限りで終わってしまい、長続きもしませんし、いったい何を見て株式の売買をしているのか、不思議に思ってしまいます。米国市場に反応、為替に反応しても一喜一憂するだけで、方向感を持って売買するわけでもなく、もう少し長い目で見た投資を考えて見ても良いのではないかと思います。金価格が上昇すれば利益が増えて、利益が増えれば増配となる企業もあるのではないかと思います。そうした「流れ」を見て、じっくりとした投資をしてもいいのではないでしょうか。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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