コラム
» 2010年09月17日 08時00分 UPDATE

中国のレアアースが手に入らない……調達とは自由への闘争 (1/2)

調達とは、経営における自由を勝ち取るための闘争である。中国のレアアースをめぐる一連の出来事を例に、材料の調達をめぐる戦いを紹介する。

[中ノ森清訓,INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール:中ノ森清訓(なかのもり・きよのり)

株式会社戦略調達社長。コスト削減・経費削減のヒントを提供する「週刊 戦略調達」、環境負荷を低減する商品・サービスの開発事例や、それを支えるサプライヤなどを紹介する「環境調達.com」を中心に、開発・調達・購買業務とそのマネジメントのあり方について情報提供している。


 日立製作所は、調達が容易で安価な酸化鉄でできた永久磁石「フェライト磁石」を使ったモーターを開発した。モーターには現在、回転子と呼ばれる回転部分の磁石の材料に、大きな力を効率よく生み出せるネオジウムやジスプロシウムなどのレアアースが用いられている。

 今回の開発にあたっては、フェライト磁石のそのままの磁力ではレアアースを使った場合の半分の力しか出ないため、回転部分に磁力が効率よく届くように構造を工夫、取り出せる力を大きくすることで開発に成功した。

 また、ダイキン工業と大阪府立大学の森本茂男教授らのグループは、鉄とフェライト磁石を組み合わせて、高出力モーターを開発した。鉄の回転子の中にフェライト磁石を埋め込む独自の構造を採用することで、開発に成功した。

 そして、帝人と東北大学も、鉄と窒素からなる新材料で強力な磁石を作る技術を開発した(出所:2010年9月10日、日本経済新聞3面)。

 各社がレアアースの代替材料の開発を進めているのは、レアアースが急速に入手困難になってきているからである。

 現在、世界のレアアース生産高の97%は中国が占めている。中国のレアアースの埋蔵量は世界の3分の1で、残りは中国以外にあるが、中国の緩い環境規制や安価な労働力、世界の工場となった中国でレアアースの6割が消費されており、消費地に近いことなどから、中国産のレアアースは価格競争力があり、生産が中国に集中している(出所:2010年8月30日、ロイター)。

 こうした圧倒的な立場を見越してか、中国商務省は、2010年7月に今年全体のレアアースの輸出割当量を2009年の水準を40%下回る約3万トンとした。この突然の削減について、中国は「環境保護の観点から」と説明しているが、レアアースの安価での国外流出を防ぐことが本当の狙いとみられている。

 供給側が圧倒的な優位を保持しているのは、レアアースだけにとどまらない。鉄鉱石や原料炭もリオ・ティントやBHPビリトンなどの資源メジャーが圧倒的なシェアを有している。例えば、日本での鉄鉱石のシェアはリオ・ティント、ヴァーレ、BHPビリトンの3社が9割近く、原料炭ではBHPビリトン、テック・リソーシズ、エクストラータ、リオ・ティントの4社が過半、国別ではオーストラリアとカナダで約7割に達する。

 鉄鉱石や原料炭の価格は、一時期ほどではないにせよ、世界的な供給の寡占と需要の拡大により歴史的な高値圏にある。

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