ちきりん:2007年に本を書かれてから3年ほどが経過しました。その間、日本の状況は良くなっていると思いますか? それとも悪くなっていると思いますか?
赤木:自分はフラットだと思いますね。元々がものすごく悪いので、これ以上悪くなりようがない。
一番まずかったのは、3〜4年前に団塊世代が退職することとなりましたが、そのタイミングで新卒学生が“売り手市場”になってしまったこと。企業は多くの新卒学生を採用しましたが、リーマンショック後に再び採用しなくなった。日本経済はバブル経済がはじけ、ロスジェネ世代が出てきましたが、それと同じことを繰り返しました。
ちきりん:新卒採用が過熱したのはたった3年間ほどですよね。しかしまた就職氷河期が訪れてしまった。将来のことは分かりませんが、再び売り手市場がやって来るかといえば、いまのところ難しいように思えます。
バブル経済がはじけたときには赤木さんの世代が不幸を背負われて、ほかの世代はラッキーだった。しかしこれからは数年前に就職した世代だけがラッキーで、その前後の世代は全部不幸になるかもしれない。つまり毎年のように、“不幸の世代”が生まれていくといった感じで。
赤木:なるでしょうね。しかも企業は不景気になれば、正社員の数を減らすことができる。なので経営者にとっては、好都合なのかもしれない。
ただこれまで正社員として育ててきた世代がいなくなってくると、会社も変わらざるを得なくなるでしょう。そうした動きが出てくるのは、10年〜20年後。そのときの自分は45歳を超えているので、10年後に気付かれても遅いですよ。
ちきりん:しかし今の状況だと、そのことにさえ気付かないかも。企業は20代の若者を正社員として採用せずに、中国や東南アジアの人を雇用するかもしれない。それでも企業は何も困らない。市場の縮小する日本では、若者を採用する必要性がなくなりつつあるから。
→続く。
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兵庫県出身。バブル最盛期に証券会社で働く。米国の大学院への留学を経て外資系企業に勤務。2010年秋に退職し“働かない人生”を謳歌中。崩壊前のソビエト連邦など、これまでに約50カ国を旅している。2005年春から“おちゃらけ社会派”と称してブログを開始。Twitterアカウントは「@InsideCHIKIRIN」
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