景気低迷などの影響を受け、日本の雇用問題が“長いトンネル”から抜け出せないでいる。派遣労働問題やリストラなど、さまざまな問題が噴出しているが、フリーライターの赤木智弘さんはこの事態をどのように見ているのだろうか。
1975年8月生まれ、栃木県出身。長きにわたるアルバイト経験を経て、現在はフリーライターとして非正規労働者でも安心して生活できる社会を実現するために提言を続けている。
著書に『若者を見殺しにする国 私を戦争に向かわせるものは何か』(双風舎)、『「当たり前」をひっぱたく』(河出書房新社)がある。ブログ「深夜のシマネコ」、Twitter「@T_akagi」
ちきりん:赤木さんの『若者を見殺しにする国 私を戦争に向かわせるものは何か』の本を読ませていただいて、ものすごくインパクトがありました。本を読んでいるだけで、赤木さんの怒りがものすごく伝わってきました。
赤木:怒りがあるとすれば、社会に対する怒りなんでしょうね。しかし社会に対する怒りに理屈を付けてしまうと、社会に対して個人は負けてしまう。単純に「社会の方が悪い」と訴えてもあまり意味がないので、怒りの感情が出ているのかもしれません。
ちきりん:なるほど。
赤木:日本は高度経済成長を経て、今の生活スタイルを手にしました。その裕福な生活の中で暮らしている人たちが、変化を望むかといえば絶対にない。彼らは「自分たちの世代ではもう手遅れだ」ということを感じています。そんな彼らを訴えるとなると、どうしても「やりきれなさ」や「いらだたしさ」が混ざってきますね。
自分は「論理的に主張していきたい」と思っています。しかし論理的に訴えても「ロストジェネレーションと呼ばれている自分たちは救われないな」とも感じています。
ちきりん:つまり“怒り”という感情が伝わっていることは「もともとの意図ではない」ということですね。
赤木:そうです。
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