新聞を信用できる、できないワケ(4/5 ページ)

» 2010年09月15日 08時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

ちきりん:なぜわたしが新聞社を信用できないかというと、記者は高給取りだし、他の業界の人たちと違ってリストラされた人も少ない。また言葉は悪いですが、フリーライターの人たちを“搾取”に近い形で利用してきました。こうしたことは、社会の矛盾でもあるのにもかかわらず、彼らは一言もそれについて語ろうとしない。

 例えば「女性は雇用差別されている」といった主張がありますが、その新聞社で女性の役員はどのくらいいるのでしょう? また「非正規雇用の格差」などと書いておきながら、彼らはパートやアルバイトをいいように雇っている。こうした矛盾を一切語らない人たちに、期待することはできませんよね。

赤木:新聞社の中の人に期待しているのではなくて、マスメディアが持っている役割といったものに期待したいですね。ただその役割を担えないのであれば、その人には辞めてもらえばいいだけのこと。なので、新聞社そのものを批判しているわけではありません。

ちきりん:NHKのような形態であれば変わることができるのかな。予算が国から出ていますから。しかし朝日新聞の社長とキヤノンの社長、どっちが変わりやすそうかという話をすれば、キヤノンの社長の方がクビになりやすい。キヤノンは上場しているけど、一方の朝日新聞は上場していないので、市場からのプレッシャーを受けることはないですよね。

 上場していない会社を、どのようにして変えることができるのか分かりません。もちろん朝日新聞だけではなく、他の新聞などもそう。読売新聞にいたってはマーケットのプレッシャーを全く無視して、1人の意思で組織が動いているイメージさえあります(笑)。

 例えばライブドアや楽天がメディアの株を買おうとしたときも、既存メディアは必死で“守り”に入りました。世の中の人が何と言おうとも、「オレたちは好きなことができる」といった体制を築きあげ、一切の変化を拒否しているみたいにみえます。

 こんな会社の実態が浮き彫りになっているのにもかかわらず、そこで働く人の力で何かが変わるとは思えないんですけど。

赤木:結局は多くの日本人が、今の新聞社の形を望んでいるからではないでしょうか。変わらないことに対する支持があるので、彼らも変わりようがない。

ちきりん:つまり新聞社が変わらないのは、読者の支持があるから、ということですか?

赤木:そうです。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.