電動自転車は普及するのか松田雅央の時事日想(3/4 ページ)

» 2010年09月14日 08時00分 公開
[松田雅央,Business Media 誠]

価格が高いE-バイク

筆者:E-バイクの価格は高い。ターゲットは富裕層ですか?

フォイファー:いいえ、富裕層に限らず幅広い所得層の需要があります。数年前までは自転車にも低価格競争があり、ホームセンターで売られる200ユーロ未満の低価格自転車に人気が集まりました。例えば(消費者の低価格志向を象徴する社会現象として)ある家電量販店が「ケチこそ美徳!」のキャッチフレーズで販売拡大キャンペーンを繰り広げたことを覚えていますか?

 しかしそういった低価格自転車は結局長持ちしません。高価格でも高品質の自転車を修理しながら長く使うという考え方が強くなっています。

筆者:それでも自転車に2000ユーロはかなり高額です。中古バイクが買える額ですが、失礼ながら本当に売れるのですか?

フォイファー:需要は確実にあり、消費者は価格に見合った性能と品質に納得できれば購入します。例えばiPhoneも価格は高いですが、消費者から絶大な支持を得ていますよね。「人生と生活の質」を上げるための経費と言えるではないでしょうか。なお当社のE-バイクには通常の自転車より遥かに長い5年の保証が付いています。

筆者:ヘラクレス社にとって、E-バイク分野のライバルは?

フォイファー:例えばスイスのFlyer社です。E-バイクはこれまでの自転車よりメンテナンスが重要となりますが、Flyer社はホテルと提携するなどして(レンタルE-バイクの)サービスステーション網整備に力を入れています。

筆者:一般的に自転車の買い換え年数はどのくらいですか?

フォイファー:およそ7年〜8年です。

筆者:その程度であれば修理しながらまだまだ使用できるはずですね。買い替えの動機は時代の流行に合わせて、ということですか?

フォイファー:そうではなく、7〜8年すると利用者のニーズが変化するからです。子どもが大人になれば乗る自転車が変わりますし、家庭を持つようになればまた用途が変わります。中高年になれば体力の変化によって、より軽量の自転車が好まれるといった具合です。

 「urban(都会)コンセプト」のもと、子どもから高齢者まですべての世代に自転車ライフを楽しんでいただくのが当社の願いです。

走行条件とE-バイクの走行距離(キロメートル、出典:ヘラクレス社)

走行地域 節電エコ走行(ペダル+電力) 通常走行(ペダル+電力) 電力走行(電力)
平坦な舗装路(サイクリング道) 55-70 40-55 30-40
丘の多い地域(田舎道) 45-60 30-45 20-30
山の多い地域(都市) 30-40 20-30 10-20

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