売れるための条件がそろっていた「じゃがりこ バーベキュー」コンビニ、ヒット商品の理由(1/2 ページ)

» 2010年09月14日 08時00分 公開
[笠井清志,Business Media 誠]

「コンビニ、ヒット商品の理由」とは?:

限られた売り場を最大限に活用して、面積当たりの売り上げを高めているコンビニ。約100種類の新商品が毎週発売されているが、売れない商品は発売から2週間ほどで撤去されてしまう。厳しい審判をくぐり抜け、コンビニでヒットしているのはどんな商品なのか。一般には「おいしい商品」「お得な商品」「テレビCMが放映されている商品」が売れると思われがちだが、実は重要なのは「店頭展開」。このコラムでは、コンビニのヒット商品を展開方法の観点から分析していく。


 6月14日にカルビーが発売した「じゃがりこ バーベキュー」。グリルしたバーベキューリブの味わいを模し、バーベキューソースの香ばしさを出したこの商品は発売後すぐ、じゃがりこが属する箱スナックカテゴリーの売り上げトップとなった。

じゃがりこ バーベキュー(出典:カルビー)

 コンビニのヒット商品に必要な要素として、「(1)商品力(味、パッケージ、商品コンセプトなど)」「(2)発売時のカテゴリー内競合商品」「(3)販売者の商品に対する意欲(モチベーション)」などが挙げられる。「じゃがりこ バーベキュー」のヒット要因は、3つのうち特に(2)と(3)にあると筆者は考えている。

 箱スナックカテゴリーは、商品の種類が少ないという特徴がある。昔から販売されているカルビー「じゃがりこ サラダ」「じゃがりこ チーズ」やヤマザキナビスコ「チップスターS(うすしお味)」が売れ筋商品となっている状態で、実は新商品投入による底上げができていないのである。

 「じゃがりこ バーベキュー」発売の約1カ月前に投入された「じゃがりこ SPICY CHEESE」も、発売後1カ月を経てもランキング上位に入っていた。つまり、ブランド力の高いじゃがりこが新商品を出せば、ヒットしやすいという状態になっていたのである。

 また、期間限定(現在は販売終了)であることに加えて、販売チャネルをコンビニに限定したことも、瞬間的に売り上げを増加させた背景となった。ちなみに箱スナックカテゴリーの商品は、商品単価を「ポテトチップス」(カルビー)のような袋スナックカテゴリーの商品よりも高く設定しており、スーパーとの価格競争も少なくなっている。

 そして、箱スナックカテゴリーは商品陳列のやり方がコンビニ向けであることも大きい。ソフトドリンクの棚が代表的だが、コンビニでは店舗スタッフに商品の顔(フェイス、表面)を顧客の側に向けるよう指導している。箱スナックカテゴリーはどの商品もよく似た形をしており、スタッフが商品を陳列する際、正面を向けるためにクルックルッと回しやすい。この行為そのものが楽しいと感じる店舗スタッフもいるくらいである。

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