米国株高、円高一服に加え、買戻しを急ぐ動きもあって大幅高清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2010年09月10日 16時48分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 先物・オプションのSQ(特別清算指数)算出にかこつけたわけでもないのでしょうが、外国人が買い越しと伝えられたこともあり、大幅高となりました。GDP(国内総生産)の上方修正や米国でも雇用情勢が回復しつつあるということもあり、世界的な景気回復鈍化、景気拡大鈍化懸念も一服となったということでしょう。円高一服となったことや週末ということで、ハイテク銘柄など輸出株を中心に買戻しが入ったことや持高調整の買いが見られたことも指数を押し上げる要因となったものと思います。

 銀行の破綻も伝えられましたが特に材料視されることもありませんでした。ただ改めて「リスク」を考えさせられることになったのではないかと思います。政府の経済対策も発表されましたが、足元の企業業績などを見ている限りでは円高に対する懸念はあるものの「それほど悪いのか?」という気がしないでもありません。政府・日銀は「円高容認」とも取れるような態度であり、「円安に戻らない」ことを前提に考えて見る必要もあるのかもしれません。

 昨日発表された米国の経済指標を見ても、貿易赤字が大幅に減り、雇用も改善していると、「ドル安効果」が現れています。米国政府の「ドル安戦略」が功を奏した格好であり、その戦略に乗らざるを得なかった日本政府や日銀は「円高」をどうするつもりなのでしょう。ただ、考え方によっては、米国が「ドル安効果」で米国景気の回復持続を図るのであれば、日本も対抗して「円安効果」が得られるようにするか、あるいは「円高効果」が日本経済そのものを押し上げるようにしていかなければならないということなのでしょう。

 輸出で稼げなくなってしまうのは輸出が主体の日本ではもちろん厳しい事なのですが、円高という事実は事実なのでその中で生き延びるには日本全体で見た場合には円高=円の価値が高まる=日本の価値が高まる、と言うことを武器にしていくと言うことでしょう。内需を拡大する、海外の企業を買収するなどという手もあるかもしれません。金利も低く、信用収縮懸念が薄れればお金も借り易くなり、いろいろな投資手段やビジネスも考えられるのではないかと思います。円高をふせぐことが 出来ないのであれば、円高で稼げるような政策が必要ということでしょう。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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