銀行の自己資本規制を巡る思惑もあって堅調清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2010年09月10日 08時34分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>10415.24△28.23

<NASDAQ>2236.20△7.33

<為替:NY終値>83.8-83.86

雇用指標や貿易収支の改善に加え、銀行の自己資本規制を巡る思惑もあって堅調

 朝方発表された新規失業保険申請件数が予想よりも大きな減少となり、雇用の改善が見られたことや「ドル安効果」もあって貿易赤字が大幅に減少したことから買い先行となりました。ただ、ここのとろこの堅調な地合いと先行きに対する懸念が根強いことを受けて利益確定売りも嵩み上値も限定的となりました。銀行の国際的な自己資本比率規制が一部の予想ほど厳しくないのではないかとの見方もあり、銀行株が買われたことも市場に安心感を与え堅調な要因となりました。

 堅調な地合いとなってはいるのですがまだ市場は疑心暗鬼で先行きに対する楽観的な見方も限定的となっているようです。銀行の自己資本規制強化懸念も根強く、この日も欧州の銀行の増資検討の報道だけで一気に上げ幅を縮小する場面もあり、商品相場なども早めに利益を確保するような売りに押されるものが多いなど、先行きに対する警戒感は根強く、センチメントがしかりと上向いたということでもなさそうです。少し経済指標の好転が見られるとセンチメントも上向いて来るものと思います。

 個別には銀行の自己資本規制が予想ほど厳しくないとの見方で銀行株が買われ、JPモルガン・チェース、シティグループ、バンク・オブ・アメリカなど軒並み堅調、モルガン・スタンレーが大幅高となり、アメリカン・エキスプレスなど他の金融株も軒並み高くなりました。雇用の改善や貿易赤字の縮小から景気回復鈍化懸念が薄れてインテルやアップル、IBMなどハイテク銘柄も堅調、キャタピラーは利益確定売りに押されたもののGE(ゼネラル・エレクトリック)やアルコアなど景気敏感株も堅調なものが多くなりました。アップルが自社の携帯端末向けアプリケーションソフトの開発・配信に関する規制を緩めると発表したことからアドビ・システムが大幅高となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は前日の大幅安の反動や米国株高、円高一服となったことから、買い先行となりました。ただ、外国人が売り越しと伝えられたことや週末に先物・オプションSQ(特別清算指数)算出を控えていることなどもあり、寄付きの買いが一巡した後は積極的な売り買いに乏しく、買い気に乏しい中で手仕舞い売りなどもあり上げ幅縮小し、小動きとなりました。最後まで手掛かり難と言う感じで先物にもまとまった売り買いも見られず、閑散の中方向感のない展開となりました。

 米国市場が堅調となったことや為替も比較的落ち着いていることから、買い先行となりそうです。先物・オプションのSQ(特別清算指数)の算出も目先筋の売り買いが入り、影響が相殺されるものと思われ、SQ後の動きが注目されそうです。SQ後も持高調整の売りが出れば上値も重くなるのでしょうが、持高調整の売り一段落となれば、SQ後も堅調な地合いが続くものと思います。円高の影響もそろそろ気になるところですが、売られ過ぎの修正は見られハイテク銘柄なども底堅い堅調な展開となるものと思います。

 持高調整の売りが出る、あるいは円高に振れて手仕舞い売りがでるようであれば9000円を窺うような展開となるのでしょうが、週末の手仕舞いの売り買いが中心で9100円台での動きとなりそうです。為替が円安に振れるようなことがないと9200円〜300円水準の節目を抜けてこないのでしょうが、目先的には9000円水準、一段の円高があっても8800円〜900円水準では底堅さも見られるものと思います。

本日の注目点

◇4〜6月期の国内総生産(GDP)改定値(内閣府)

◇日銀金融政策決定会合議事要旨(8月9〜10日分)

◇8月の企業物価指数(日銀)

◇8月のビール系飲料出荷量

◇株価指数先物・オプション9月物の特別清算指数(SQ)算出

◇5年物国債〔9月債〕入札

◇7月の米卸売売上高

◇8月の中国貿易統計

◇7月のインド鉱工業生産指数

◇シンガポール市場が「ハリ・ラヤ・プアサ(イスラム教の断食明け大祭)」で休場

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