米国株安や円高を嫌気して売られ大幅安清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2010年09月08日 17時11分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 米国株が大幅安となったことや大きく円高に振れたことから売り先行となりました。ただ、寄り付き前に発表された機械受注が予想を大きく上回ったこと、また、大きく上回った割には為替が落ち着いていたことに加え、昨日の下落である程度米国株安を織り込んでいたことなどから大幅安には違いないのですが底堅さも見られました。欧米でも景気回復鈍化や金融不安が大きく広がる気配が見られないことから、売り急ぐ動きにはならなかったものと思います。

 昨日の白川日銀総裁のコメントを聞いていて失望した人が多いのではないかと思います。政府高官も何だか的外れなコメントばかりで、本当に円高に対する危機感が薄いような気がします。こうした動きを見ていると「円高容認」という方針でなのではないかと思ってしまいます。さすがに「円高容認」などと言えば一気に円高が進み大変なことになるので、はっきりという事はないのですが、円高で内需を拡大、内需拡大からの景気回復を期待するということなのではないかと思います。

 バーゼル委員会の銀行の自己資本比率の問題も内需拡大からデフレ脱却となれば、かつて「プラザ合意」後にNTT(9432)の上場に向けて壮大なバブルを発生させ、株価を押し上げたような展開を期待しているのではないかと思います。銀行が収益を上げるためには貸し出しを増やす必要があり、そのためにはデフレを脱却させる必要があり、そのためにはバブルを発生させて土地の値段を上げる、円高にして「日本の価値」を高める必要があると言うことなのではないかと思います。そしてその先に郵政の上場なども考えているのかもしれません。

 幸いなことに緩やかに円高に振れる分には製造業でも円高対応をし易いという面もあり、また、従来よりもアジアを中心に製造拠点が海外に出ていることなどを勘案すると、円高デメリットを黙殺して円高メリットを大きく持ち上げるという戦略も描けるのではないかと思います。思い切って、ここでは視点を変え、円高のメリット、円高で何が出来るのかを考えて見るのもいいと思いますし、円高をうまく利用しているところを見つけて行く方が良いのかもしれません。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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