上杉隆×高野孟 小沢一郎はなぜ、代表選に出馬したのか(前編)(1/3 ページ)

» 2010年09月07日 08時00分 公開
[Infoseek 内憂外患編集部]
内憂外患

 9月14日に行われる民主党代表選。事実上、ここで選出された候補者が次の首相となる。8月26日、小沢一郎前幹事長が立候補した。これまで、機会があっても首相の座に名乗りを上げなかった小沢氏。今回の出馬の意図はどこにあるのか……。

 8月27日に収録された高野孟氏のTOKYO FM『高野孟のラジオ万華鏡』で、ジャーナリスト上杉隆氏と高野孟氏がその背景を語った。

1月に行われた民主党大会での小沢一郎氏(撮影:堀内彰宏)

出馬はあの日に分かっていた

高野 まさに昨日(8月26日)、小沢一郎さんが出馬を表明しましたね。私はずっと代表選に出るならダミーを立てずに自分で出ろ、といってきましたが、出ましたね。

上杉 この日に関してはずっと予想していました。8月19日に軽井沢にある鳩山さんの別荘に小沢さんが行ったら出るだろうと。行かなかったら出ないだろうとね。

 鳩山前首相が軽井沢で開く夏の研修会は毎年行われています。そこに小沢氏が来たのはこれまで3回。1回目は2002年です。そのとき自由党の代表で、鳩山さんは民主党の代表でした。そこに突然来て、挨拶をして帰っていった。その翌年に民由(旧民主党と自由党)合併がありました。次は2005年。そしたらその翌年4月に代表選に出ました。そして7月19日が3回目です。

 私も出た方が良いと思っていました。小沢さんを知っている人なら誰しも知っているのですが、彼は言われているように強権的な何もかもやるスーパーマンではありません。

 出なかった場合、20年や30年後、または50年後に「あの時、小沢が出ていればこんなことにはならなかったな」というような間違った神話が出ないように出たほうが日本の政治のために良いと思います。「なんだ、単なる口下手なおっさんなんだ」ということを分からせるためにです。

小鳩・菅仙石の二重権力構造

高野 小沢さんは昔から「シャッポはアホがいい」というようなことを言って、裏に回っていたわけです。結果的に幹事長となって影の最高権力者と言われていた。そんな影の権力者がいたのに、なぜ鳩山政権は8カ月で終わってしまった。どこに小沢さんの実力があったのか、なぜ短命内閣に終わったのか、まだ総括がなされていません。「やっぱり小沢さんじゃないと」というよな、神話的なところが党内でもあるのではないでしょうか。本当の実力とは何なのか、ちゃんと見せてくれと思います。

上杉 報道を見ると、その神話の部分には破綻が見られます。報道では、「鳩山さんの支持があれば立候補する」とありました。鳩山は「小沢の傀儡(かいらい)だ」と言われていたのにです。いきなり鳩山さんがスーパーパワーを持って、「鳩山前首相が後押ししたから代表選に出馬した」という言い方がなされています。これまでの報道とは二重権力構造の主従が変わっています。これはフェアじゃない報道の仕方です。

 一方で菅直人首相もこれは本人が認めているけれど、仙石さんが実力を持っています。最初は菅さんが「自分でやります」と言っていたのに、記者会見で回を追うごとに「仙石由人官房長官にお任せしている」と敬語表現まで使って公の場で話している。これこそ二重権力構造になっているのに、報道はそのことについては触れていない。それはフェアではありません。フェアにやった方がいい、というだけの話です。

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