週末の米国株高を受け、売られ過ぎの修正もあって大幅高清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2010年09月06日 16時09分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 週末の米国市場が大幅高となったことから買い先行となり大幅高となりました。節目と見られる8月30日の高値、25日移動平均線、一目均衡表の基準線水準に上値を押さえられましたが、売られ過ぎの修正という格好で大幅高となりました。円高気味にもかかわらずハイテク銘柄など輸出株が売られ過ぎの反動から買われ、ほぼ全面高となりました。ただ、週明け月曜日ということや米国市場が休場ということもあり、売買高も膨らまず盛り上がりに欠ける展開となりました。

 取引所での取引時間延長の話が出ていますが昼休みの間や夜間も取引を行いたいという投資家(投機家?)が多いようです。仕事の休み時間中に売買をしたいとか、仕事が終わってから売買がしたいということのようですが、そもそも、為替取引のように株式を24時間売買する必要があるのかどうかという気もします。株式市場が動いている時に売買したいと言うことなのでしょうが、そうなるとますます目先の株価の動きばかりを気にする相場となってしまいそうです。

 本来、株式投資というのはその会社に資金を預け(投資)、その会社が利益を上げることで、配当と言う形で還元したり、株式価値を高めて株価が上昇することで投資家に還元するものではなかったかと思います。それが手数料の自由化とインターネット取引の普及で単に値動きを追いかけて売り買いして利益を上げるものというようになってしまったのではないかと思います。本来、四六時中売買をする人達と言うのは「投機家」であり、「投資家」ではなく、一部の人間に止まっていたということです。

 手数料を下げて売買を増やす、そのためにいつでも売買できるようにする、と言うのは何だか本末転倒というかおかしいような気がします。株式市場の本来の役割、幅広い投資家から資金を集めるための市場というものから、単なる「鉄火場」となってしまっているような気がします。為替の「ディーリング」も従来は「プロ」の領域であったものが誰でも参加できる「鉄火場」となってしまっており、株式市場も同じ轍を踏む事になるのでしょう。本来の株式投資に対するインセンティブを与えられるような市場にならないと、株式市場も売買高は増えても機能不全に陥ってしまいそうです。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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