景況感に改善が見られ、景気回復鈍化懸念が薄れて大幅高清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2010年09月02日 08時48分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>10269.47△254.75

<NASDAQ>2176.84△62.81

<為替:NY終値>84.44-84.5

景況感に改善が見られ、景気回復鈍化懸念が薄れて大幅高

 中国の経済指標が予想を上回ったことや朝方発表されたISM(米サプライマネジメント協会)製造業景況感指数が予想に反して改善したことが好感されて買い先行となりました。民間調査の雇用レポートは予想を下回ったことで、比較的おとなしい始まりとなったのですが、買い戻しを急ぐ動きやM&Aに絡む話題などから買い進まれ、大幅高となりました。ドル安メリットで企業業績が改善し、雇用などにも好影響を与えており、景気回復鈍化懸念が薄れたことで買い急ぐ動きとなったものと思います。

 欧州での金融システムに対する懸念も薄れたことで信用収縮=リスク許容度の低下に歯止めがかかったことで、金融株が買われ、商品相場も堅調となり、全体的に買い安心感が出たものと思われます。企業業績の改善が個人消費や雇用に結びつくのかどうかが今後の課題なのでしょうが、ISM製造業景況感指数の中でも雇用の改善が著しく、週末の雇用統計改善への期待も強まったのでしょう。

 個別には信用収縮懸念が薄れたこともあり、JPモルガン・チェースやバンク・オブ・アメリカ、シティグループにアメリカン・エキスプレスが大幅高となるなど金融株が総じて高く、景況感の改善からキャタピラーやGE(ゼネラル・エレクトリック)が大幅高、アルコアも高くなるなど景気敏感株も高くなりました。インテルなどハイテク銘柄も先行きに対する懸念は残るものの軒並み買われ、ホーム・デポが大幅高、ウォルマートやコカ・コーラも高くなるなど消費関連銘柄も高くなりました。エクソン・モービルやシェブロンなど石油株も原油価格の上昇を受けて大幅高となったのですが、パブリック・ゴールドやニューモント・マイニングなどの金鉱株は金先物価格の下落もあり、軟調となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は前日の大幅下落の反動もあり大幅高となりました。寄り付きは様子見気分の強いような始まりでしたが、下値を確認すると売られ過ぎの反動などから買い戻しも入り、中国経済指標が予想を上回ったことや為替が落ち着いたことなどもあり、大幅高となりました。外国人も引き続き売り越しと伝えられたこともあり、上値の重い場面もあったのですが、持高調整の買いも入って値持ちも良く、大幅高となりました。

 米国株が大幅高となったことや為替が落ち着いていることから買い先行となりそうです。8月末、一昨日の大幅下落の要因となった持高調整の売りが嵩み、売られすぎた銘柄などの水準訂正を交えて、下落分を取り戻すような展開が期待されます。昨日の大幅高でどこまで織り込まれているのかと言うところですが、それでなくても売られすぎ感が強い中での切り返しは十分に期待されるところです。米ドルに対して、円安が進んでいないことは気になりますが昨日の大幅高の中で持高調整の売りが続いていて買われなかった銘柄などを中心に堅調な展開が期待されます。

 日経平均は9000円台で引けてくれば底入れ感も出てくるのでしょうが、為替が円安に振れるような展開にならないと上値も限られてしまいそうです。今後は節目と見られる9200円水準まで一気に戻すような展開となるのかどうかと言うところですが、9200円水準では上値も押さえられてしまうものと思います。いったん9000円台に乗せれば「9000円を割り込むことがあれば買い」というようなその水準からの底堅さも見られるものと思います。

本日の注目点

◇8月のマネタリーベース(日銀)

◇5−7月期決算:伊藤園(2593)

◇マレーシア中央銀行金融政策委員会

◇8月の米小売り各社の既存店売上高

◇7月の米製造業受注

◇7月の米仮契約住宅販売指数

◇4−6月期の米労働生産性指数(改定値)

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