月末の持高調整の売りに押されるも底堅い堅調な展開清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2010年09月01日 08時23分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>10014.72△4.99

<NASDAQ>2114.03▼5.94

<為替:NY終値>84.18-84.24

月末の持高調整の売りに押されるも底堅い堅調な展開

 世界的な景気回復鈍化懸念が根強く、安全資産への逃避が続く中で売り先行となりました。それでも、朝方発表された住宅価格指数が予想を上回り、午前中に発表になったシカゴ購買部協会景気指数は予想を下回ったものの、消費者信頼感指数は予想を上回り、好感する買いや値ごろ感からの買いが入り堅調となりました。ただ、FOMC(公開市場委員会)議事録が発表されると月末の持高調整の売りもあって軟調となり、その後は持高調整の売り買いが交錯する格好となり、ダウ平均は小幅高、ナスダック指数は軟調となりました。

 引き続きM&A(企業の合併・買収)に関する話題も多いのですが、先行きの景況感に対する懸念は拭えず積極的な買いは入り難い展開となっています。ここへ来て、金融規制強化の影響が出ているということなのか、これだけ金利が低下してもいっこうに金利裁定が働かず、投資や投機に慎重になっているようです。米国内需の滞りも企業業績のよさを素直に好感できない要因となっているものと思います。いずれにしても多分にセンチメント=気分的な問題という感じで、楽観的な見方が増えるのかどうかが注目されます。

 個別にはトレーディング自己勘定部門を閉鎖するとしたJPモルガン・チェースが堅調、連れてバンク・オブ・アメリカなど銀行株は堅調となりました。2010年7−12月の世界のパソコン出荷台数が従来予想から鈍化しそうだとする米調査会社のレポートが発表され、インテルやHP(ヒューレット・パッカード)、IBMなどハイテク銘柄は軒並み軟調となりました。景気に対する警戒感は根強いものの値ごろ感からの買いも入り、キャタピラーやホーム・デポは堅調となりました。M&Aに絡んで高級百貨店のサックスが急伸、住宅価格の上昇を受けてレナーやトール・ブラザーズといった住宅株が買われました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株安や円高を嫌気して大幅下落となりました。政府・日銀の経済対策、円高対策に対する失望感もあり、景気回復鈍化が懸念されて売り急ぐ動きとなり、大きな下落となったものと思います。月末の持高調整の売りも出ていたのかもしれませんが、外国人も売り越しと伝えられ、買い気の乏しい中で見切り売りが嵩んで大きな下げとなりました。足元の業績が好調でも景気動向に影響が少なくても、売られてしまうというような状況で、ほぼ全面安となりました。

 米国市場は底堅い堅調な展開となっているのですが、一段と円高に振れたこともあり、下値を試す展開となりそうです。ただ、シカゴ市場(CME)の日経平均先物は昨日の日経平均の終値水準で終わっており、昨日の大幅下落の反動もあって底堅さは見られるものと思います。米国市場でもパソコン販売の鈍化を懸念する動きもあり、日本市場でも円高ということもあり、ハイテク銘柄などは割安感が強まっていても積極的に買い上がる動きにはなり難いかもしれません。商品相場も軟調となり、商社株などが買い難く、不動産株などの内需株で値動きのいいもの、割安感が強いものを物色することになりそうです。

 日経平均は節目と見られる8800円水準での底堅さを試される展開となりました。8800円を割り込むようなところでは買い戻しや値ごろ感からの買いも入るのでしょうが、円高に一服感が見られないと下値を試しながらなかなか指数が浮上しないような展開となるものと思います。目先的には8800円水準から9200円水準でもみ合いながら底値固めとなるものと思われますが、円高対策が見られないと調整が長引くことになるものと思います。

本日の注目点

◇8月の新車販売台数(自販連)

◇8月の軽自動車販売台数(全軽自協)

◇9月見込みの財政資金対民間収支(財務省)

◇10年物国債〔9月債〕入札

◇4−6月期のオーストラリアGDP

◇8月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)

◇8月の米新車販売台数

◇8月のオートマチック・データ・プロセッシング(ADP)全米雇用リポート

◇8月の米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景況感指数

◇7月の米建設支出

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