筆者は両商品がヒットした最大の理由として、2番目のパッケージタイプの変更にあると分析している。コンビニ店頭での商品訴求は非常に重要で、商品売り場でのゴールデンライン(目線を動かすことなく視界に入る高さのライン)に展開されるかどうかで、販売数が10倍以上変わるほどの影響がある。これは、特に新商品で顕著な傾向だ。
前述したように、コンビニのガムの主力はスティックタイプとなっており、複数種のガムを置くために、ゴンドラ棚のスペースを細かく割って1箱単位で展開している(右写真参照)。また、スティックタイプはパッケージのサイズが小さくなりやすいため、顧客への訴求力も小さくなりがちである。
訴求力を増すためには、通常の商品なら、山積みするなどして“ボリューム展開”を行う。しかし、スティックタイプのガムはサイズが小さいため、実行するには大量の在庫が必要となる。これは商品回転率を悪化させることにもなるため、コンビニ経営者としては二の足を踏んでしまう。
しかし、Strideのようにカードタイプだと、サイズが大きく、立てて展開することもできる。この特性があることによって、最上段(ゴールデンライン)でボリューム展開を行えるのである。ガムゴンドラのゴールデンラインは最上段から4段目までの間(上写真参照)。一般的なコンビニではそこに高単価商品を展開し、下段にはスティックタイプを陳列する傾向がある。
ガムカテゴリーでは過去ボトルタイプのガムの大ヒットがあったが、それもゴールデンラインに置かれやすいという商品の形態上の特性があったからである。店頭での展開状況を考慮した商品がヒットする傾向は今後も続くだろう。
船井総合研究所シニアコンサルタント。複数企業でキャリアを磨き、船井総合研究所の経営コンサルタントとして従事する。コンビニ本部等の多店舗展開チェーン企業へのコンサルティングを中心に活動。クライアント先である「NEWDAYS」の平均日販を日本一に押し上げたことが話題になる。月刊コンビニ(商業界)で連載を持つほか、著書に『コンビニのしくみ』(同文館出版)や『よくわかるこれからのスーパーバイザー』(どちらも同文館出版)がある。
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