追加金融緩和期待や予想ほど悪くない指標を好感して大幅高清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2010年08月30日 08時37分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>10150.65△164.84

<NASDAQ>2153.63△34.94

<為替:NY終値>85.21-85.27

追加金融緩和期待や予想ほど悪くない指標を好感して大幅高

 朝方発表されたGDP(国内総生産)改定値が予想を上回ったこと、予想ほど悪化しなかったことが好感されて買い先行となりました。ただ、週末の手仕舞い売りに加え、半導体大手が業績の下方修正を発表、FRB(連邦準備理事会)議長の講演を前に手仕舞い売りや景気回復鈍化を懸念した売りに押されて軟調となる場面もありました。ただ、値ごろ感からの買いに加え、FRB議長が更なる金融緩和に対して前向きと捉えられたことで買戻しや押し目買いが進み、大幅高となりました。

 市場のセンチメントが好転したというよりはFRBに対する期待、信頼から買われた面もあるものと思います。企業業績の下方修正なども発表されましたが、一方でM&A(企業の合併・買収)をめぐる話題もあり、また、商品相場なども堅調となったことで追加緩和期待から信用収縮懸念が薄れたことも買い要因となったものと思います。景気の先行きに対して楽観的になったということでもなく、今週も主要な経済指標の発表に一喜一憂することになるのでしょうが、過度な悲観は薄れたものと思います。

 個別には業績の下方修正を発表したインテルはいったんサーキットブレーカーが働くほど大きく売られたものの、織りこみ済みということやIBMなど他のハイテク銘柄も堅調となったことで買戻しも入り堅調となりました。景気回復鈍化懸念が薄れたことでキャタピラーやGE(ゼネラル・エレクトリック)、アルコアなど大幅高も絡めて堅調となり、JPモルガン・チェースやバンク・オブ・アメリカなど金融株も信用収縮懸念が薄れて堅調となりました。商品相場が堅調となったことからエクソン・モービルなどの石油株やパブリック・ゴールドなどの金鉱株も買われ、総じて堅調となりました。

本日の相場

日経平均

 先週末の日本市場は米国株安や円高懸念を受けて売り先行となりました。外国人も依然として売り越しと伝えられたこともあり、寄り付きの売りが一巡となった後は週末の買い戻しで底堅さは見られたものの軟調な地合いが続きました。昼の間に首相が円高・経済対策に関してコメントをすると伝えられると週末の手仕舞い売りを急ぐ動きとなり堅調となりました。先物にまとまった買いも見られて一時大幅高となる場面もありましたが、週末のヘッジ売りもあって上値も限定的となりました。

 週末の米国市場が大幅高となったことで日本市場も堅調な展開が期待されます。ただ、日銀や政府の対応が早めに見られないと、失望感につながり、円高に進む可能性も高く、買い一巡後は上値の重い展開となり、為替次第では売り直されてしまう場面もありそうです。米半導体関連銘柄の下方修正の影響は既に織り込まれているものとして影響は少ないと思われますが、効果的な経済対策や円高対策が見られないと買戻しは入るのでしょうが積極的に買い直す動きにはならないものと思われます。

 シカゴ市場(CME)の終り値(9080円)が9000円の節目を抜けていることから、9000円台での動きが期待されますが、政府・日銀に対する失望感や円高進行による売りが出ると8900円台半ばや前半の節目での底堅さを確認するような場面もありそうです。9000円台で強含みの展開が続き、為替も円安傾向にあれば9100円台半ばや9200円水準の節目まで戻ることになるのでしょう。目先的には8800円から9200円、その先を見ても9500円〜600円までの戻りを試す動きとなって来るのでしょう。

本日の注目点

◇7月貿易収支

◇8月ユーロ圏景況感指数

◇7月米個人消費支出・個人所得

◇7月カナダ鉱工業生産指数

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.