最後に残る新聞社はどこなのか上杉隆の「ここまでしゃべっていいですか」(9)(1/3 ページ)

» 2010年08月30日 08時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

 全10回でお送りする、ジャーナリスト・上杉隆氏、作家/経済ジャーナリスト・相場英雄氏、ノンフィクションライター・窪田順生氏の鼎談連載9回目。購読部数や広告費の減少などにより、新聞社に“逆風”が吹き荒れている。激変する環境の中で、一体どこの新聞社が生き残っていくのだろうか。この問題について、3人が語り合った。

最後に残る新聞社

ノンフィクションライターの窪田順生氏

相場:通信社での仕事は一瞬で記事をまとめる――いわば職人技が求められます。「このネタはダメだ」と判断したときには、速報を流しません。しかし最近はネットの発達によって、各社の速報競争に拍車がかかってきた。これは複数の現役記者から聞いた話なのですが、記事にするか判断に迷っていると、上司から「書いてしまえ!」と命令が飛んでくるそうです。昔だったら、確実に書かなかったことでも、最近では突っ走る傾向があるようですね。

上杉:通信社の仕事というのは、それなりの職業訓練が必要になってきますよね。新聞社もまた別の訓練が必要となります。

相場:そうですね。

上杉:なのに大手新聞各社は、ネット上で速報記事を流している……。それは通信社の仕事、危ないなあ朝日新聞は(笑)。

相場:ハハハ。

窪田:朝日新聞の記者は、通信社が行う訓練を受けていませんからね。

上杉:新聞各社は生き残り策を模索しなければいけないのに、まだ合従連衡がうまく進んでいない。しかし最後に残るのは逆に現在の弱者の毎日新聞や産経新聞ではないか、という話をホリエモン(堀江貴文)としました。いまの記者クラブを中心としたメディアシステムは、すでに破たんしている。

 また1つの事業者が多くのメディアを傘下に置くクロスオーナーシップの制度の下では、読売グループが強かった。しかしこうした制度がなくなってくると、これまで強かった読売新聞などのメディアが一気に瓦解するかもしれない。その一方で、なんとか生き残ろうと必死にもがいている毎日新聞や産経新聞が残るかもしれません。

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