米国株安、円高を受けて売り先行となったものの経済対策期待で買戻しが入り堅調清水洋介の「日々是相場」夕刊(1/2 ページ)

» 2010年08月27日 16時00分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

市況概況

日経平均 8991.06円 △84.58円
売買高 16億9862万株
日経平均先物 8970円 △80円
売買代金 1兆1827億円
TOPIX 819.62 △7.83
値上がり銘柄 1256銘柄
東証マザーズ指数 366.41 △4.81
値下がり銘柄 292銘柄
日経ジャスダック平均 1171.13円 △2.48円
変わらず 120銘柄
騰落レシオ 85.79% ▼0.89%

日経平均

米国株安、円高を受けて売り先行となったものの経済対策期待で買戻しが入り堅調

 米国株が軟調、為替も円高気味ということに加え、相変わらず外国人売買動向(市場筋推計、外資系10社ベース)が売り越しと伝えられたこともあって売り先行となりました。ただ、週末ということで手仕舞いの買戻しも見られ、寄り付きの売りが一巡した後は底堅い展開となりました。底堅さが見られると戻りを試すような動きも見られたのですが、逆に週末の手仕舞い売りやヘッジ売りもあり、上値も限定的で戻り切らず軟調な地合いが続きました。

 後場に入ると、政府が経済対策のスケジュールを発表すると伝えられたことから買戻しを急ぐ動きもあり、堅調となりました。政府の対策発表自体に期待する向きも多くはないのでしょうが、とりあえず買い戻しておこうという動きが出たものと思います。為替も円を売る、ドルを買い戻す動きが強まり、売られすぎた感の強いハイテク銘柄などを中心に堅調、売り飽き気分や売り一巡感から売り物薄の中で大きく値を飛ばすものも見られました。

 小型銘柄も小口のちょっとした買いが入ると堅調となるものが多く、東証マザーズ指数は大幅高、日経ジャスダック平均は堅調となりました。先物も週末の手仕舞いの売り買いが中心となっていたのですが、後場に入ってから買戻しを急ぐ動きが強く指数を押し上げる場面もありました。引けを意識する時間帯からは手仕舞い売りにヘッジ売りが加わり上げ幅縮小となりましたが、9000円水準まで戻ったことで達成感もあり、売り急ぐ向きもいたようです。

 またも経済対策期待から買われました。週末ということもあり、反応が大きくなったのでしょうが、結局はふたを開けて見なければ分からず、たぶんに失望させられるものと思います。ただ、実際に株式相場は安値圏と言われる水準にあり、景気回復鈍化が懸念されはするものの、足元の業績から見て割安感が強いと言うことは、目先的な動きはともかく「安値圏」で買える可能性は高いのではいかと思います。買い上がるというところまで行かなくてもとりあえず買い戻しておこう、ということにはなるのでしょう。

テクニカル分析

日経平均

NYダウ

 「抱きの一本立ち」というか「三川」というかいずれにしても底値を示す形となりました。まだ、転換線も抜け切れず、「窓」を埋めただけ、ということで、底値固めの一環と言う見方も出来そうで、これで底入れと考えるのは早計かもしれませんが、週明けに堅調な展開となれば、少なくとも9200円水準までは戻ることになるものと思います。週初に軟調となれば、再度下値を試すことになり、8800円〜900円の底値固めとなるのでしょう。

TOPIX

NYダウ

 一気に転換線まで、今週の初めの水準まで切り返し、底堅さが見られます。RSIはまだ下値余地もあるのですが、ストキャスティックスは底値圏からの反発となっており、遅行線も日々線の底値と日柄が一致したところから反発となっており、底入れ感が強まったものと思います。週初に堅調となれば、底入れ感も出てくるのでしょう。

円相場

NYダウ

 底堅さは見られるのですが、転換線に上値を押さえられて戻りも鈍くなっています。RSIもストキャスティックスも下げ切ってからの反発ということでもなく、まだ底値固め、下値模索が続きそうです。転換線を抜けて転換線をサポートに基準線までの戻りを試す動きとなるにはもう少し時間が必要ということなのだと思います。

銘柄ピックアップ

好材料への反応も見られる

アサヒ(2502) 1607 △15

 昨日、オーストラリアの清涼飲料3位メーカーを買収すると発表。昨年買収した飲料2位メーカーとの統合などからオーストラリアでの事業拡大、成長期待か買われて堅調となりました。

シャープ(6753) 840 △10

 外販液晶パネルの伸び悩みは9月以降も続き、外資系証券が2011年3月期営業利益予想を引き下げ、目標株価も大きく引き下げたことから売り先行となりましたが後場に入り円高・経済対策期待から買い戻されて最後は堅調となりました。

トヨタ(7203) 2941 △13

 米国での主力車種のリコール問題が浮上、8月の米国での新車販売が大きく落ち込むのではないかとの見方が強まり、軟調となりました。後場から為替が円安に振れたことから、買い戻しも入り堅調な引けとなりました。

イオン(8267) 916 △16

 主力の総合スーパー事業を再編する方針を固めたと新聞で報じられ、経営の効率化による収益改善が期待され、アジア進出も加速されそうだとして買われました。

東ガス(9531) 391 △3

 寄り付きは売りが先行となりましたが、前日に7月のガス販売量が好調と発表されたことや景気の影響を受け難いディフェンシブ銘柄として評価され、週末の買戻しもあって堅調となりました。

協和キリン(4151) 856 △37

 主力の医薬事業の安定した収益があることから多く業績が悪化する可能性は少なく、現状の株価水準が割安として国内証券が投資判断を引き上げたことが好感されて買われ、大幅高となりました。

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