雇用指標の改善も景気回復鈍化懸念が根強くダウ平均は1万ドル割れ清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2010年08月27日 08時50分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>9985.81▼74.25

<NASDAQ>2118.69▼22.85

<為替:NY終値>84.43-84.49

雇用指標の改善も景気回復鈍化懸念が根強くダウ平均は1万ドル割れ

 朝方発表された新規失業保険申請件数は予想を下回り、雇用の改善が見られたことから買い先行となりました。ただ、買い一巡後は芳しくない経済指標の発表などを受けて手仕舞い売りを急ぐ展開となりました。ちょっとでも芳しくないものが見られると敏感に反応してしまうということなのでしょうが、週末に発表される4−6月期GDP(国内総生産)改定値の下方修正に対する懸念もあり、売り急ぐことになったものと思います。

 企業業績は決して悪くはないのですが、「景況感」は悪いということで悪材料(というほどでもないものにも)に敏感に反応してしまっているという感じです。米国経済に対して、もっと自信を持ってもいいような気がしますが、世界的に金融規制強化などもあり、投資や投機に安心して資金を流入できないと言うことが根本的な問題だと思います。それでも、企業業績が好調で景気回復鈍化懸念が薄れれば、売られ過ぎの修正も行われるものと思います。

 個別にはハイテク銘柄を中心にどんな材料にも反応せず持高調整の売りに押されるものが多くストレージ(外部記憶装置)メーカーの買収価格を引き上げ買収が受け入れられたと報じられたデルは軟調、ドイツの半導体大手の一部事業買収を検討していると伝えられたインテル、ソフト会社買収を発表したシスコシステムズ、携帯音楽プレーヤーの新機種を発表するとの観測が出たアップルなど材料は豊富なのですが反応は鈍く、軒並み軟調となりました。アナリストによる利益見通しの引き上げのあったボーイングは高くなりましたが、景気敏感銘柄とされるGE(ゼネラル・エレクトリック)やキャタピラー、アルコアなども軒並み軟調となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株高や円高一服を好感、前日までの大幅安の反動もあって買い先行となりました。ただ、外国人が大幅売り越しと伝えられたこともあり、寄り付きの買いが一巡した後は上値の重い展開となりました。後場に買い直されましたが、一時軟調となる場面も見られるなど引き続き冴えない展開が続いています。為替動向次第ということでしょうが、政府・日銀の対策も期待薄で、目先筋が中心の相場となっています。

 米国市場が軟調となったことや週末の米国での経済指標の発表を控えて買い手控え気分も強く、軟調となりそうです。ただ、為替や欧州株式市場、商品相場に落ち着きが見られていることや、米国市場に先駆して下値を試すような展開となっていることが、下値も限定的、底堅い展開となるものと思います。大きく下落している輸出関連銘柄などには買い戻しも入り、商品相場の底堅さもあって、商社株なども底堅い展開は期待されます。ただ、政局の混乱も懸念され、円高対策や景気対策への失望感も根強く、全般的に買い気に乏しい展開となるものと思います。

 買い気に乏しい中で再び下値を試す動きとなって来そうです。節目と見られる8800円〜900円水準での底値固め、という感じで売り急ぐ動きにはならないのでしょうが、少なくとも一気に9000円台回復というわけには行かないと思います。売られすぎ感も強いことから、8800円〜900円水準での底堅さは見られるものと思われます。為替が円高に振れるようであれば更に下値を探る動きも見られるのかもしれませんが、大きく円高に振れることがなければ売り急ぐこともないと思います。

本日の注目点

◇7月の全国と8月の都区部の消費者物価指数(CPI、総務省)

◇7月の完全失業率(総務省)

◇7月の家計調査(総務省)

◇7月の有効求人倍率(厚労省)

◇4−6月期の英GDP改定値

◇バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長講演

◇4−6月期の米GDP改定値

◇8月の米消費者態度指数(確報値、ミシガン大学調べ)

◇海外5−7月期決算:ティファニー

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