遊びのなかの色と形 クルト・ネフ&アントニオ・ヴィターリ(3/7 ページ)

» 2010年08月26日 08時00分 公開
[上條桂子,エキサイトイズム]
エキサイトイズム

 愛らしい少年の顔が特徴のペーター・シュヴァイツァ・スコラリ氏による玩具。手前が「Curli(クルリィ)」カーリング玩具。後ろが「Penalty(ペナルティ)」。ペナルティはフランスワールドカップの際に限定バージョンの復刻版が生産されたので、まだ手に入る可能性は高い。

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 アルマ・ジードホフ・ブッシャー氏による「Bauhausu Bauspiel(バウハウス バウスピール」。これはもともと1922年にドイツのデザイン教育機関バウハウスで作られた玩具で、1977年にネフによって復刻されたもの。22個の大小さまざまなパーツを組み合わせて作る積み木は、その後のモダニズム建築にも大きな影響を与えた。

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 近未来的なモダンデザインでファンも多いヴェルナー・パントン氏もネフの玩具を作っていた。「Pantonaef(パントネフ)」である。プラスチックの板とフレーム、それを止めるパーツからなる積み木で、自由に構造を組んでいくことができる。プラスチックの色の美しさはパントンらしい。

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 ネフの玩具は「高すぎる」とか「大人向けなのでは?」という意見もよく聞くが、1つの積み木を作る過程を見ていると納得できる部分も多い。また、子どもに媚びたデザインをしないというのもネフの信条である。クルト・ネフ氏はおもちゃのデザインについてこう語っている。

 「おもちゃはファンタジーを生み出すものであったり、発達を促すものでなくてはなりません。何通りもの形で遊ぶことができ、美しくなければいけません。なぜなら、子どもたちはおもちゃを通して、さまざまな世界を知っていくからです」(アトリエ・ニキティキWebサイトより)

 発売から何十年経っても決して色褪せないネフの魅力は、クルト・ネフ氏のこうした美学・哲学にある。2006年にネフ氏が永眠してからも、この哲学は継承されていくのだろう。

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