遊びのなかの色と形 クルト・ネフ&アントニオ・ヴィターリ(2/7 ページ)

» 2010年08月26日 08時00分 公開
[上條桂子,エキサイトイズム]
エキサイトイズム

 ネフ・スピールの製造工程をみることができる。ネフ・スピールにはカエデの木が用いられるが、まずはその木目をチェックし、塗装する色ごとに振り分けていく。ネフ・スピールは黄・赤・緑・青の4色。塗装の際に発色を美しくするため、一番色みの薄い黄色には木目があまりついておらず美しい白木のパーツが選ばれ、そのほかの色は木目の程度に合わせて振り分けられていく。濁りのない美しい黄色の秘密は、そんなところにあったのだ。

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 そして、美しいV字にカットされたキューブは、塗装→研磨→塗装を4回も繰り返し、磨くごとに艶を増して美しいパーツが完成していく。

 もちろん塗装に使用される着色料も自然由来のものや、人の体内に入っても安全なものが使われており、ヨーロッパの安全基準である「CEマーク」が付与されている。

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 「Tastspiel(タッチテスト)」もネフ氏が手がけた玩具である。9つの円にはそれぞれ違う素材が張られており、手指の感覚だけを使って同じ素材かどうかを当てるゲームだ。単純だが実際に触ってみると面白い。

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 ネフは、初期の頃から才能のあるデザイナーとコラボレーションして新しい玩具を生み出すというスタイルをとっていた。これは、ネフの玩具に非常にかかわりの深いデザイナー、ペア・クラーセン氏の代表作「Cubicus(キュービックス)」である。

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 これは2.5センチの小さな立方体を基本パーツとし、10個のパーツで構成された積み木。小さな立方体の土台で、その対角線方向に積み上げていく積み木は当時革命的とも評された。クラーセン氏は、キュービックスのほかにも幾何学的なフォルムと物理学・数学的な考え方から生まれた玩具(トイ・オブジェ)を多く作り出している。

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